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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
十一章 ドラゴンショッピング
357/357

357.みんなはそれぞれがやりたいことを始めたようです

 目が覚めた俺は、湖からあがってきた仲間達と一通り言葉を交わした後、分身の俺から今後の話を聞いた。


 どうやら、イリノス大陸のほとんどの人間が湖の底に集まっていて、事の経緯を見ているらしい。

 そしてその人達の認識では、俺がラスボスっていう認識だから、俺が生きているっていうことを知ったままにすると、色々とややこしくなるのだとか。

 だから、大変不本意ではあるが、人々にはドラゴンの王が俺に憑依する前の依り代としていたドラゴン、漆黒のドラゴンをラスボスだったという記憶に書き換えて、漆黒のドラゴンを倒したから平和が戻ったということにしたらしい。


 あと、湖に大勢の人々を残したままにするわけにはいかないので、瞬間移動で湖からイリノス大陸の町まで人々を連れていくとのこと。

 分身体の俺がそれをしている様子を遠くから眺めていたが、ものすごい技だなというのが素直な感想だった。

 何しろ、何百、何千もの人々が一斉に消え、また現れては別のそれ位の人々を運ぶってことが短い間に行われるのだから。

 本当にとんでもない技である。


 また、分身体の俺は俺に生命力というものを返してくれたみたいだ。

 それを返してもらわないと、そう遠くないうちに俺は死んでしまうのだとか。

 道理でやたらと体に力が入らないと思ったよ。

 というか、長命であるはずのドラゴンの寿命を削り切るとか、女神の拳って技、やべえな。

 敵に使われたら取り返しがつかないやつだし、本当、分身体が味方で良かったわ。


 ちなみに分身体の俺から女神ショッピングの機能を再び分けてもらったので、分身体の俺が購入したスキルは俺も使えるようになったらしい。

 試しに短い距離の瞬間移動を試してみたが、問題なくできたので、のちのち時間のある時にゆっくりと使いこなせるように頑張るとしよう。


 また、女神ショッピングの機能のメインは分身体のままにしておくことにする。

 まあ、メインもサブもあまり関係ないのだが、今ある女神ショッピングの所持金のほとんどは分身体が得たものだしな。

 これから人々の生活を作り直すということを考えると、俺よりも分身体の方がお金は圧倒的に使う機会は多そうなのだ。



 ちなみにいつもは分身体には役割を果たしたら俺と合体してもらっているのだが、今の人間の分身体はそのままでいてもらおうと思っている。

 俺自身がどうにもできなかったことを何とかしてもらったという大きな恩を感じているのもあるし、何より分身体はメイリスにとって大事な人になっているからな。

 分身体がいなくなったらメイリスが悲しむだろうし、そんなことになるのは俺としても望まないしな。


 分身体としては、どちらでも構わないと言っていたが、俺の意思を伝えると、精一杯自分の務めを果たそうと言ってくれた。

 もはや俺とは全然別人の働きを立派にこなしている訳だし、「分身体の役割を果たすというよりは、お前がしたいことをすれば良い。何か困ったら遠慮なく呼んでほしいし、たまにはおしゃべりでもしようぜ」と言うと、微笑んで「そうだな、そうするか」と了承してくれた。


 分身体はこれからそれぞれの国の人達の復興を手伝った後、それが落ち着いたら、メイリスの建国を本格的に手伝うとのこと。

 どうやら、軍事国の王は大きな失態を犯したらしく、国は崩壊。

 メイリスが新たな国の設立を宣言して、軍事国の民のほとんどがその新しい国の民となるのだとか。


 国を作るとか、ただの一市民でしかない俺にとってはスケールが大きすぎる話で、どうなるのかは分からないが、頑張ってくれとしか言いようがない。

 俺の分身でしかない分身体も、俺と知識量は大して変わらないはずなのだが、そんなことに関われるなんて、きっと大きく成長したに違いないな。

 まあ、泣き言を言いたくなったら、きっとこっそり連絡をくれることだろう。

 愚痴とか不満を聞いて、スッキリしてもらう位の手助けはできるだろうからな。

 政策についてどうすれば良いとか聞かれても、そんなに知るかって話ではあるが。



 さて、分身体についてはこんな所か。

 あとは火山についてだな。

 火山のエリアボスに関しては、俺が事前に根回ししておいた通り、サソリと大蛇のダブルエリアボスでやっていくことにしたようだ。

 ボルドがいなくなってから、すぐに別のエリアボスが誕生したことで、火山も特に衰えることなく、問題なくやっていけてるらしい。

 俺が頑張った甲斐があったってもんだな。


 あと、例のボルドなのだが、テレーナの攻撃によってしばらく気絶をしていたが、それから目覚める頃には洗脳が解けていたらしい。

 洗脳が解けたことで火山に戻ったのだが、洗脳中に自分がしでかしたことはおぼろげに記憶があるようで、サソリと大蛇に申し訳なかったと謝ったのだとか。

 サソリと大蛇も思う所がないわけではなかったが、今までの功績も考えて、特に重い処罰をすることはなかったようだ。

 そんなボルドは今ではボルケーノリザード達と一緒にひっそりと暮らしているらしい。

 ボルドはずっと忙しくしていたらしいし、そうやってのんびり過ごせるようになったというのは、もしかしてボルドにとってはよかったのかもしれないな。

 サソリと大蛇も、何か困ったことがあったら、ボルドの力を借りることもできるし。

 ということで、火山についてはうまくやっていけそうな感じである。



 それからテレーナとトラージはというと、テレーナは俺の所に残り、道徳を勉強中。

 トラージは分身体の俺とともに、メイリスの建国の手伝いをすることにしたのだとか。

 トラージが建国に興味を持つなんて珍しいなと聞くと、「建国したての弱い国を狙って、色々とガラの悪いヤツが湧いて出るだろうから、そいつらをしめるのが楽しみだぜ」と、まだ見ぬ強盗をターゲットにしているようだった。

 トラージに目を付けられるであろう盗賊達はご愁傷様である。



 そして、俺自身はというと、いつも通り森の家でのんびり生活―――といきたかったのだが、俺が騒ぎから戻ってくると、なんと体が森の家に入らないではないか!

 なぜか知らないが、俺は洗脳を受けていた間に体がだいぶ大きくなってしまっていたらしい。

 多分、前よりも2メートル位は体長が大きくなったんじゃないかな。

 目線も以前よりも高くなった気がする。


 結局そのせいで、今の森の家の中に入れなくなってしまって困ったというのが俺が置かれた状態だ。

 まあ、サイズチェンジを使えば、入れなくはないのだが、毎回出入りするたびに体の大きさを変えるのも面倒だしさ……。

 自分の家なんだから、自分にあったサイズの家であってほしいと思うんだよな。


 だから、俺はその翌日、早速新しい家づくりを始めることにした。



「それでお父さん。新しい家ってどうやって作るつもりなの?」

「ああ、その方法は何となく考えてあるんだ」



 今の森の家は、女神ショッピングのラインナップにあった森の家を、サイズ指定して建てたものだった。

 でもたしか、俺に合うサイズの家を建てようとしてかなりの高額になってしまったんだよな。

 別に分身体が稼いでくれたお金を借りれば建てられなくはないが、今の俺の体のサイズに合わせるとなると、さらに値段がはねあがるのは目に見えるし、それはできれば避けたい。

 という訳で、考えたのが、自力で家を作ろう作戦だ。


 まずは家の元になる木を植える。

 そしてその木に自然の恵みを使って、ぐんぐんとものすごい勢いで成長させる。

 幹がものすごい太さになるまで成長したら、木をちょうど良い高さで切断し、後は中をくりぬいていくって感じだ。


 これ、木を成長させるまでは順調にいったのだが、中をくりぬくというのがものすごく大変だった。

 何しろ、俺の体も余裕で入るほどの化け物級の木の幹なのだ。

 くりぬかないといけない量は膨大であり、器用さが必要な作業ができる俺やカトカ、テレーナ、ハギなどが手分けしてやっても、なかなか作業は進まなかった。

 それでもあきらめずにずっと作業を続けること、3ヵ月。

 ようやく、念願の新しい家が出来上がる。



「よし、これで完成だ! 新しい木の家! みんな、お疲れ様!」

「あー、疲れた。こんなに頑張ったの、ドラゴンの王戦以来だよ」

「ドラゴンの王戦って、こんなもんじゃないだろ……。まあ、何はともあれ、今日はめでたい日だ! 夕食は盛大に祝おうじゃないか!」

「やったぁ! それじゃ、ローストビーフってやつ、僕、食べてみたいな!」

「それなら、わたしはチーズフォンデュってやつ、食べてみたい!」

「オレは……美味ければなんでも良いです」



 日本で食べていた料理のラインナップを口々に言うテレーナとカトカ。

 どうしてもこの世界だと食べれない類の料理ってあるからな。

 そういうのは、やはりめったに食べられるものでもないし、俺達にとってもとっておきのごちそうって訳だ。

 具体的なリクエストをすることはなかったハギも、明らかに楽しみにしている表情である。



 そしてその夜は、みんなで盛大に祝った。

 分身体の俺にこのことを知らせたら、分身体の俺だけでなく、メイリスとトラージも連れてやってきてくれたし。

 なぜか見知らぬ白い竜人もその場にいた。

 分身体の俺によれば、その竜人は女神なのだとか。



「……確か女神を呼ぶのにお金がかかるんだよな?」

「もちろんそのはずだ。……俺は呼んでないぞ。お前が呼んだんじゃないのか?」

「いやいや、呼ぶ訳ないだろ。俺はひっそり使わせてもらっている立場なんだからさ」

「だよな。それじゃあ、一体誰が―――」



 俺と分身体は互いに首を傾げながら女神の方を見ると、女神がこちらの方に近寄ってきて。



「……私が自分でここに訪れたのです。何か文句でも?」

「いや、ないが……。女神様はそれで良いのかよ? 〇分コースとかじゃないとこちらに来ちゃいけないんだろ?」

「大丈夫です。ちょっとだけなら……。あと、気持ちだけいただけたら……」



 そう女神がつぶやくと、俺と分身体の前にそれぞれ女神ショッピングの画面が現れる。

 画面を操作してみると……。



@@@@@@@@


 以下の物を購入しますか?

 現在の所持金 4217247589B


 女神の賛美歌  1000000B


@@@@@@@@



「どうです? 特別サービスで、90%OFFですよ?」

「……って、相変わらず高ぇんだよ! 金とるっていうんなら、さっさと元の場所に帰れ!」

「えーん、エンラさんのいじわるぅ!?」



 ぶーっとぶーたれた後、女神はそそくさと机に置いてあったローストビーフを一枚口に放り込んだ後、ボンッと白い煙を発生させて、いなくなってしまった。

 ……本当、お騒がせな女神である。




 みんなと盛大に新居完成を祝った後、あちこちで寝てしまう人が続出。

 好きなだけ飲み食いして、騒いだら疲れて寝てしまったんだろう。

 だらしないと思わないでもないが、それだけ新居の完成を祝って喜んでくれたのだと思うと、憎めないよな。


 という訳で、今は俺はみんなが体を冷やさないように、新居の中に運び込んで、毛布をかけるなどをしている最中だ。

 せっかく来てくれたみんなに風邪をひかれては困るからな。

 元気で楽しく過ごして、良いパーティだったと心から言えるようにしたいしさ。


 それが終わって一段落ついた時、同じく手伝ってくれたテレーナに声をかける。



「テレーナ、ちょっと人間の俺と話をしてくる。それまでみんなのことをよろしく頼むな」

「うん、分かった。任せておいて!」



 張り切った様子で返事をしてくれるテレーナを微笑ましく思いながら、俺は分身体の俺とちょっと離れた所にある見晴らしの良い丘まで移動する。

 そして、女神ショッピングにて、女神召喚の30分コースを選択した。



「……あっ、今度は呼んでくれたんですね。って、もうお祭り終わっちゃってそうじゃないですかー! 私のローストビーフがぁー」

「なんだ、やっぱり女神様、ローストビーフが食べたかっただけじゃないか。そういえば、さっき現れた時も、きっちり食べてから帰っていったよな」

「……ギクッ!? ま、まぁ、さすがに現れたからにはただでは帰れないっていいますか、なんていいますか……」



 女神はすごく気まずそうな感じになって、目線をそらす。

 そして、思いついたかのようにまた話しかけてくる。



「そ、それよりも! どうして私を呼んだんです? まさか、ローストビーフのことを問い詰めるためじゃないですよね?」



 そんな感じであからさまに話題をそらしにかかる女神。

 ……まあ、別に問い詰めるために呼んだわけでもないし、女神の話題そらしに乗っかることにするか。



「ああ、そうだ。色々慌ただしかったからな。こうしてゆっくりできる時に、改めて感謝をって思ってな」

「感謝ですか……。別に私としてはただ、注文されたものを適正価格で販売しているだけですから、そう感謝されても、って感じなんですけどね」



 ふふふと笑みを浮かべる女神。

 言葉とは裏腹に、女神はだいぶ嬉しそうに思っているように見える。

 自分の名前を冠しているショッピングを利用してもらって、なおかつ感謝されるっていうことは、女神ほどの存在にとっても嬉しいことなのかもしれないな。



「女神様は、やっぱりこことは違う場所に住んでいるんだよな?」

「はい。神域にあるショッピングルームという所で働いていますよ」

「ショッピングルームって……なんかそのまんまだな。そこでどんなことをしているんだ?」

「そうですね……。商品の価格の見直しを行ったり、足りない商品を足したりしますね。エンラさんからは特に商品の問い合わせが激しかったので、いくつか商品を足した記憶がありますよ」

「なるほどな。それがNew!という表記があった商品なのか……」



 実際にやっていることを聞くと、なんか人間でも普通にありそうな仕事だなぁと思わなくもなかったりする。

 ちなみにそれからも聞くと、女神は眠らないので、年中無休で働いているらしい。

 その代わり、ある程度休みたい時は休んで良いとのこと。

 時には数年単位で休むこともあるのだとか。

 めっちゃブラックかと思いきや、なんかめっちゃホワイトな気もしてくる不思議な職場だな。

 人間の感性からして理解ができないのは、さすがは神の仕事場って感じなんだろうか。


 それから女神とゆるーくぶっちゃけトークを楽しんだ後、俺達は女神にお別れの挨拶をした。

 そして、この場には俺と分身体の二人だけが残される。



「こうして、ゆっくりできる時間ってやっぱり良いよな」

「本当にな。俺は最近ずっと動き回りっぱなしだったから、こんなに穏やかな時間を過ごしたのは久しぶりだ」

「建国って、やっぱり大変そうだよな。お疲れ様」



 大変そうな分身体に労いの言葉をかける俺。

 分身体に比べると、俺はだいぶゆるーい生活をしてきているから、だいぶ申し訳ない気がしてくる。

 まあ、分身体に今の生活は強要してないし、自らが選んだ道なのだから、止めたりもしないんだけど。



「だけど、充実感はあるかな。あと、メイの成長を実感できるというかさ」

「なるほどな……。なんか変わったな。少なくとも以前の俺じゃ、そんな立派な発言できねえよ」

「そうか? ……まあ、確かに変わったのかもな。環境によって、だいぶ変わるって聞いたこともあるしな。だけど根本的な所は多分変わらねえよ。俺だって本当はのんびり過ごしたい」

「ふっ、それなら確かに根っこは変わんねえな」



 争いごとは面倒だから嫌いで、できることならラクしてのんびり暮らしたい。

 それは昔からの俺の願望だった。

 そして、それはこれからも変わらないだろう。



「だから、早く国が安定したら、さっさと隠居するんだ、俺。隠居して、ひっそりとお金稼いで、のんびり過ごすんだ」

「そんな時期は当分来ない気がするけどな。メイリス、お前がいなくなったら、見つかるまで執念で見つけ出しそうだし」

「あはは、確かにな。それじゃ、当分隠居できそうにねえか」



 自分がしたいことができないと言われても、それでもまんざらでもなさそうな分身体の俺。

 きっと、分身体の俺には、今の俺が大事に思っているよりももっと大事なものができたのだろう。

 そのもっと大事なもののために、今を頑張るのも悪くはない。

 俺もいつかはそんなことを思える日は来るのだろうか。



「何真剣な顔してんだよ? 俺らしくもないぞ」

「いや、まあ、何でもねえ。一歩お前の方が先に進んでいるのかなって思っただけだ」

「何だよそれ? ……まあ、別に大したことはねえよ。どっちが進んでるとか遅れてるとか、そんなのはないんだ。自分がしたいようにすれば良い。人に何言われようが、それで満足しているなら、その生き方でいいんだ」

「……そうだな。それが俺らしく生きるってことか。それで良いんだよな」



 今の自分がしたいようにすれば良い。

 そのしたいことは、その時々によって変わるかもしれない。

 でも、変わった後の方が優れているとかそういうのはなくて。

 その日その日でできることをやっていければ良いんだ。

 だから、明日も、自分がしたいことを気ままにやって生きていくことにしよう。


 俺は、気分良く分身体との話を終え、みんなが眠っている新居へと戻る。

 そして、また明日も、俺達はそれぞれがやりたいことをするため、思い思いに動いていくのだった。

以上で完結となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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