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ドラゴンになってものんびり過ごしたい~動物達と気ままにスローライフ~  作者: かいものトカゲ
二章 ライフショッピング
30/357

30.二度目の取引をしました

 30分しかなかったので、結局眠れないまま俺の休憩時間は終わってしまった。

 隣でぐっすりと寝ているカトカが実に羨ましい。



「エンラ、21時になったわよ」

「あっ、もう21時か……えっと、それじゃ次はどっちが休むんだ?」

「私はまだ眠くないのよね。ターガはどうなのかしら?」

「ターガ、コクリはまだ眠くないようだから、お前が休むか?」

「ああ、そうさせてもらう。もう眠くてたまらないからな」



 ふぁああとあくびをして、そのまま立ったまま寝始めるターガ。

 そんなんで休めるのかと思ったのだが、寝やすい体勢は人それぞれだし、俺が口出す必要もないだろう。


 俺はコクリとしばらくその場でじっとしていた。

 するとコクリが口を開く。



「今日カトカと一緒に遊んでくれたの?」

「ああ、そうだぞ。いつもコクリにばかり色々任せちゃって悪かったな」

「いや、そんな事ないわよ。私にできる事なんて限られているし。エンラの力になれているのなら、それでいいの。そういえばカトカ、随分と大きくなったわね。何かあったの?」

「ああ、カトカの奴、ついに進化したんだ。トカゲ語ではあるが、言葉も話せるようにもなってたぞ!」

「そうなの!? ふふっ、ならいつかは私とも会話出来るようになるかしら?」

「きっとなるさ。その為にはコクリが先に日本語を覚えないとな」

「ふふっ、そうね。でも大丈夫。すぐに覚えてみせるから!」

「すごい気迫だな。うん、期待しているぞ」



 コクリはやる気十分なようだな。

 そこまでの気概を見せられると、こちらとしても教育に手は抜けないなと一層気が引き締まる。



「ねえ、せっかくだから、この時間に日本語を教えてよ! そうしたら早く話せるようになるでしょう?」

「おっ、分かった。でも大丈夫か? こんな夜中に教わっても覚えきれるか?」

「問題ないわ。だから早く始めましょう?」



 コクリったら急かすなぁ。

 でもその意欲は買った。


 俺はそれから二時間みっちりとコクリに日本語を教えた。

 前に教えたあいさつ以外にも日常で使いそうな単語とか、簡単な話とかもな。

 その時間は案外あっと言う間に過ぎ去ってしまった。


 そしてコクリとターガが交代。

 これまでコクリに日本語を教えていたことをターガに伝えると、おれにも教えて下さいと懇願された。

 とてもやる気に満ち溢れていたのでもちろん教える事に。


 結局俺が起きている間は起きているコクリかターガに教え、俺が寝ている時はコクリとターガで会話の練習をしていたようだった。

 そんな感じで夜通し日本語の勉強が行われているうちに、いつの間にか夜が明ける。



「朝が来たわね。『おはようございます、エンラさん』」

「なんかよそよそしくて何だか変だな。コクリらしくない……」

「ふふっ、それは言葉の意味は伝わっていると受け取っていいのかしら?」

「まあ、そうだな。使い方は完璧だ」

「そうでしょ? 『ありがとうございます、エンラさん』」



 うん、使い方は完璧なんだが……

 コクリってタメ口で話すイメージだから、なんか違和感があるんだよな。

 まあ言葉遣いなんて応用編みたいなものだから、一通り話せるようになってから教えればいいか。


 日の光を浴びてターガも起きたようだ。

 さて、これから活動―――したい所なんだが、正直眠すぎる。

 俺、なんだかんだで二時間しか寝られていないからな。

 そりゃ睡眠が足りなさ過ぎるわ。



「ごめん、ちょっと寝かせてくれないか? 寝不足みたいなんだ……」

「あっ、そういえばエンラの休憩時間、潰れちゃったものね? いいわよ、ゆっくり休んでちょうだい」

「その間おれとコクリさんで見張りしておくから安心してくれ」

「ありがとな、二人とも。それじゃ少しずつ休ませてもらうぞ」



 俺はそう言うとぐっすりと眠り込んでしまった。




 しばらくして目が覚めた。

 テントの中には誰もおらず、テントの外から話し声が聞こえてくる。

 この声はコクリやターガだろうか?

 何話しているんだろうな?


 気になった俺はそっとテントから外を覗き込んでみた。



『ターガ、木の実』

『分かった。コクリ、待ってる』

『うん。私、待ってる』



 そう二人が日本語で言葉を掛け合うと、ターガはどこかへ飛んでいき、そして木の実をくわえて取ってきた。

 二人とも、ぎこちないながらも既に日本語の会話をある程度出来ているみたいだな。

 凄すぎるだろ……



「あっ、お父さん、目が覚めたんだね!」

「あらっ、エンラ、よく眠れた?」

「周りは異常ないっすよ!」



 俺に気付いたみんなが近寄ってきた。

 カトカもすっかりみんなの一員って感じだよな。

 大きくなったものだ。



「それにしても、二人とも随分と日本語が上手くなったもんだな」

「ふふっ、そうでしょ? 日本語っていう言葉を話すと、ターガと話せるから結構面白いのよ」

「コクリさんが何言っているのか分かるっていいよな。でもまだ話したいこと全然話せないから、エンラさん、もっと教えてくれ!」



 ターガもコクリに負けない位、随分と熱心だな。

 言葉が通じる事のなかった二人にとって、共通の言語である日本語は大きな存在なんだろう。



「そうだな。それじゃあ―――」



 俺がターガに返事をしようとした瞬間、こちらに近付いてくる複数の気配を感じ取る。

 この感じの気配は多分鷹達だろう。

 果たしておにぎり200個に対する九尾の反応はどうだったのか………?



 しばらく待っていると、予想通り、鷹達が俺の近くに舞い降りた。

 以前と同様、鷹の足には獲物が掴まれている。



「ドラゴン様、お取引をお願いしたいのですが!」

「ああ、分かった。で、前の取引を九尾さんはどう言っていた?」

「それはそれは大喜びでしたよ! 特にドラゴン様がプレゼントして下さった方にあった酸っぱいおにぎりがクセになる美味さだと絶賛していました!」

「おお、それは良かった」



 九尾、喜んでくれたのか。

 正直九尾を怒らせる事になるのではないかと内心ヒヤヒヤしていたが、心配は杞憂のようだな。

 まあ、元々おにぎり100個と交換する分のものを九尾は持ってきたんだろうし、問題になりようはないか。

 それに九尾が気に入ったのは多分梅味のおにぎりだろう。

 やっぱりシーチキン以外にも気に入るものがあると思っていたよ。



「それであのぉ……今回の九尾様の要求なのですが、ドラゴン様がプレゼントして下さった方のおにぎりを100個欲しいとの事なのですが、大丈夫でしょうか……?」

「ああ、用意は出来てる。そちらが出す品物を見せてくれないか?」

「あっ、はい、こちらです」



 鷹達は一斉に俺の前に獲物を置いていき、山積みにした。

 やっぱり十数体の獲物っていうのは見てて壮観だな。

 さて、今回の売却価格は?


 鷹が持ってきた獲物はフォレストラビットが5体、リトルヘッドが6体、ツインヘッドが2体、リトルベアーが2体、ブラックラビットが1体。

 鷹は15羽しかいないが、1羽の鷹が2体獲物を運んできたので計16体になる。

 それを全部売却すると、約33万B。

 相変わらずすごい価格だな。


 俺はその獲物を全て売却し、そして前と同じように大きな袋とひもを購入し、袋に九尾にプレゼントしたものと同じ様々な味のおにぎりを合わせて100個入れておいた。

 さて、せっかくだし、今回も新しい味を提供してみようか。

 最近コクリ達とも食べたハムたまごサンドをあげてみよう。

 まあサンドイッチは高いから今回のプレゼントは少な目で10個位にしておこう。

 毎回大量にプレゼントしてしまうと、それをあげるのが当たり前に思われかねないからな。


 俺がハムたまごサンドを袋に入れている様子を不思議そうに見てくる鷹達。

 そして鷹のうちの一人が俺に声をかけてきた。



「何なんですか、これは?」

「これはサンドイッチというんだ。とっても美味いんだぞ?」

「そうなんですか……羨ましいです、九尾様……」



 そう言った鷹からはじゅるりとよだれをすする音が聞こえてくる。

 対価となる獲物を持ってきているのに鷹自身は何ももらえないなんて何だかかわいそうだな……

 そうだ!



「ちょっと食べてみるか? 九尾に内緒にしてくれるならの話ではあるが……」

「えっいいんですか!? でも、それだと九尾様にばれたら怒られる……」

「いいじゃない、ちょっと位、バレないわよ」

「そうだそうだ。オレ達だけ食べられないなんて不公平だ!」

「み、みんな……分かりました。ドラゴン様、どうか私達に少し恵んではくれませんか?」



 鷹達の間には九尾への不満がたまっていたようだな。

 まあひたすら命令に従う日々はやっぱり疲れるんだろう。

 俺はそんな立場になりたいとも思わないしさ。


 俺はサンドイッチを8個頼んだ。

 1個頼むとサンドイッチが二組分出てくるので、8個頼めば16人に配ることができる。

 鷹は15羽しかいないから1個余るんだけどな。

 ちなみに不公平にならないよう、余ったサンドイッチは俺がありがたく頂きました。


 こうしてこの場にいる鷹達全員に俺はサンドイッチを配っていった。



「うっ……美味い!」

「これなら九尾様もきっと気に入るでしょう」

「な、なあ……このサンドイッチ10個もオレ達で食べちゃわないか?」

「だ、ダメだよ! そんな事がばれたら九尾様に何されるか分からないよ!?」



 まあ、そりゃそうだろうな。

 食べ物の恨みは怖いっていうし、本来九尾にプレゼントされるはずだったサンドイッチを鷹が食べたなんて知れたら大変なことになるだろう。

 こうやって鷹にサンドイッチを恵んでいることに対しても何を言うか分かったもんじゃないしさ。

 

 サンドイッチを食べ終わった鷹達は満足そうにしながら、取引したおにぎりなどが入っている袋を持って九尾の所へ向かって飛んで行った。



********

八日目:残金633298B

収入:フォレストラビット25000B、リトルヘッド60000B、ツインヘッド200000B、リトルベアー40000B、ブラックラビット6300B

支出:おにぎり10000B、サンドイッチ3600B、大きな袋800B、ひも200B

収支;+316700B

********

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