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腹黒殿下のお気に入り  作者: 咲倉 未来
番外編

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21/21

腹黒殿下は動じない

 結婚式も無事に終えて、いよいよ初夜を迎える。

 寝室に入ると、妻になったアリアがリネンを頭から被って怒っていた。


「殿下のエッチ!変態!」


「取り合えず、理由を聞かせてくれるかな」

 まだ何もしていないのに心外である。


「こんな寝間着を着せるように言うなんて!」


「ああ、そういうことか」


 初夜の為に用意されたネグリジェがお気に召さないらしい。確かに過度な露出の品を選ぶだろうから、アリアは驚いたのだろう。


(うん。見たいのは山々だけど、それだと攻略が難しくなるな)


「私が選んだわけでは無いよ。文句なら侍女に言えばよかったのに」


「言いました!でも代わりの品もどれも変わり映えしなかったんです。しかも、これ以外は無いから嫌なら裸で待つように言われたんです!」


 信じられない、とアリアは頬を(ふく)らませる。


「なるほどね。少し待ってて」

 レオナルドは一旦自室に戻りクロゼットから自分のシャツを一枚選んで、アリアに渡した。


「私のシャツなら丈も長いだろうから、これで我慢してほしい。流石に今から人を呼ぶのは難しいからね」


 ベッドに置かれたシャツを一瞥(いちべつ)し、アリアはレオナルドを()めつける。


「着替えるので、こちらを絶対に見ないで下さい」


 笑顔で頷き、くるりと回り背中を向ける。暫くすると衣擦(きぬず)れの音がし始める。


「そろそろ大丈夫かな。そちらを向いても?」


「はい。着替え終わりました」


 くるりと向き直るとダボダボのシャツを着ているアリアが立っていた。今は長すぎる袖を折り曲げているところだ。


「これで我慢します」


「うん、そうしてくれると助かるよ。ありがとう」


 問題が解決したので早速ベッドへと向かう。けれどアリアが待ったをかけた。


「殿下は、ソファで寝て下さい」

「ちょっと、流石にそれは酷くない?」


 アリアの提案に、レオナルドもビックリして言い返す。


「なら、私がソファで寝ます」

「それも許可できないね」


 覚悟の決まらないアリアの心情を辿り、レオナルドはどう説き伏せるか考える。


「ベッドは大きいから二人で寝ても大丈夫だ。それに私はアリアが許可しないなら手は出さないことにする」


 アリアを安心させるように、レオナルドはニッコリと笑う。


「ほ、本当ですか?」

「うん。約束するよ」


 納得したアリアを先にベッドに入れて、レオナルドは半身を起こしてその横に並んで座る。


 横になりじっと見上げてくるアリアを見下ろしながら、レオナルドは愛おしそうに見つめ返す。


「ねぇ、アリア。少しだけ髪をさわっても良いかな?」

「はい。大丈夫です」


 許可を貰えたので、アリアの髪に手を伸ばす。一房すくって手で弄ぶと、サラサラと指をすり抜けていく。しばらく繰り返して堪能したら次の提案を出してみる。


「ねぇ、アリア。頭を撫でても良いかな?」

「はい。大丈夫です」


 許可を貰えたので、アリアの小さな頭を優しく撫でる。


「頭を撫でられるのは好き?」


 アリアがコクリと頷き、うっとりとその感触を堪能し始める。頬を指で撫で、そのまま顎を撫でて反対の頬を撫でれば、くすぐったそうに身を縮めている。


「アリア、少しだけ抱きしめたいんだけど」

「……いつも勝手にするのに」


 自分から許可を出しづらくなったアリアが、文句を言い出したので攻め方を変える。


「なら、嫌だったら言って?直ぐにやめるから」


 そうして、腕の中にアリアを収めて頭をなで続ける。うっかり眠り出さないように頬をくすぐるのも忘れない。額にキスをして様子を見ながら、次は何処を攻めようか思案する。


 そんなレオナルドの策略に気付かないアリアは、ぼんやりと与えられる刺激に身を委ねてしまうのだった。


 □□□


 翌日、レオナルドはアリアへのプレゼントを持って彼女の部屋を訪れた。部屋に入るとシュミーズドレスを着てリラックスした妻が出迎えてくれる。どこかふわふわし、目線が合うとモジモジし出すアリアの頭を撫でて、持っていたプレゼントを渡した。


「わぁ。何をプレゼントしてくれるのですか?」


「可愛い奥さんに似合うものだよ」


 何だろう、と呟きながら、アリアはリボンを解いて中身を取り出した。


「ナイトローブ?レースと刺繍が可愛いですね」


「ネグリジェがお気に召さなかったようだからね。これを羽織れば大丈夫だ」


「……それは、アレを着て欲しいということですか?」

 少し紅潮し半目のアリアが、レオナルドに目だけで不満を訴える。そんなアリアに艶やかな笑顔を向けて、ゆっくりと彼女の耳に顔を近づけ囁いた。


「別にアリアの好きなようにすればいいさ。私のシャツを着ても良いし、ローブだけでも嬉しいよ」


「っ!」


 真っ赤なアリアの顔を確認して、笑いを堪える。


「今夜、どの姿で待っていてくれるか楽しみだ」


「そんなっ!」


「私は執務があるから、これで失礼するよ。また夜に」


 慌てふためくアリアに軽く手を振り、執務室へと戻る。廊下を歩きながら、今からアリアが夜に向けて何を着るか悩む姿を想像してクスクス笑った。


(ローブだけはないだろうな。侍女はまた同じように接するだろう。下がらせた後でシャツに着替えるか諦めてローブを羽織るか、だな)


 どれでも構わないが、出来れば全て見てみたい。そんな欲求を満たすため腹黒殿下は今日も策略を巡らせる。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )❤︎


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