腹黒殿下は納得できない
評価入れてくれた方、ありがとうございます!
ブックマークもありがとうございます!
結婚式の準備と称して、連日フィガロが城に来てアリアの装飾品のデザイン画を披露する。
「お兄様、このティアラとっても素敵です!」
「クラウンで可愛く仕上げるのもどう?ヘッドドレスも素敵だよ。お色直しするなら髪型も変えて楽しんだらどうだろう?」
「素敵ですぅ!」
夢心地なアリアが、うっとりと想像を膨らませている。
「揃いのネックレスもあるからね。取り外し出来るショルダータイプなら、ちょっとした時間で変化を演出できる。パレードの移動の合間に雰囲気を変えても楽しそうだね」
次々に出されるアイデアに、アリアは興奮気味に大きく頷いている。
「結婚式と披露宴、国民へのパレードにパーティーで七日間もお祝いが続くなら、アクセサリーもドレスも山ほど必要だね。そうでしょう?殿下」
「そうだね。沢山必要だよ」
バルベリーニ兄妹の会話に殆ど入り込めないレオナルドは、内心穏やかで無いものの、笑顔を絶やさずにその場に留まっていた。
「アリア、全て殿下からの贈り物だよ。感謝しなきゃ」
「ありがとうございます。殿下!」
「どういたしまして。喜んで貰えて嬉しいよ」
アリアの満面の笑みに、少しだけ気分が良くなる。
「全て兄である僕がデザインするからね。楽しみにしていてね」
「はい!お兄様のデザインは素敵すぎます。凄く楽しみです!」
「……」
気のせいかフィガロが此方をチラチラ見ている気がして、レオナルドの機嫌は地に落ちる。
(おかしい。アリアは私と結婚して私の妻になるはずなのに、全然占有出来ている気がしない)
むしろ、フィガロとの兄妹愛を見せつけられている気さえしていた。
そうして打ち合わせの間中、レオナルドはモヤモヤし続けたのだった。
□□□
打ち合わせが終わり、束の間レオナルドとアリアは二人でお茶をする。
「ねぇアリア。君はどうして私の腹黒さに気付いたのにフィガロには何も感じないんだ?」
レオナルドは不満だった。自身も大概だと思っていたが、フィガロだって負けず劣らず真っ黒だ。その証拠に今日だってレオナルドに当て付けて楽しんでいたのだから。
「何を言っているんですか?お兄様はレオナルド殿下とは違います」
フィガロの二面性に全く気付かないアリアに、レオナルドは驚き不満を募らせる。
(全く。フィガロは上手いこと隠し通しているな)
けれど、それならフィガロは誰にも理解されていない事に気付き、思わず同情した。
(この喜びを知らないなんて、何だか可哀想だ)
途端に全ての不満がどうでも良くなって、レオナルドは自分が手に入れた幸せを噛みしめる。
「殿下、笑顔が邪悪です」
アリアに指摘され、次の瞬間綺麗な笑顔を作り出す。そして、当たり前のようにレオナルドの感情と考え方に付き合ってくれるアリアに心が満たされた。
「大したことは考えてないから、気にしないで」
アリアは公に婚約者として認められている。結婚式が済めば夫婦になるのだから今さら焦る必要は無い。ゆっくり、じっくり、確実に。アリアの心の全てを凌駕していけば済む話だ。
「殿下、やっぱり笑顔が邪悪です」
「そう?きっと気のせいだよ」
今日も腹黒殿下は『理想の王子様』の笑顔で、愛する婚約者の攻略に励むのだった。
楽しんでいただけましたら、下にスクロールして
応援(☆☆☆☆☆)を押していただけると、
すごく嬉しいです。




