誰が1番
素晴らしい弾力に包まれて快適な朝の目覚めを迎えた、ニーナは所謂着痩せするタイプで、思ったよりも私のボリューム以上に有った。
ウエストは鍛えられているのでキュッと引き締まり、しかして筋肉の塊ではない女性特有の柔らかさを残している美ボディー、それがニーナという存在だった、名実共に私は身長も胸も4人の中で1番小さい事が判明した一夜である。
「おはようございます、ノワ」
ヤダ、好き!! 疲労やら気怠さやら初めての気恥しさやら、入り交じった笑顔のおはようって凄い可愛い!
我ながらチョロいと思うんだけど、2人きりの時は敬称はナシでと決めたらグッと距離が近付いた気がする。
「おはよう、ニーナ」
「あ・・・」
挨拶と一緒にキスを落とすと、やっぱりモジモジと悩んだ様子から唇を返してきてシーツに潜ってしまう、かーわーいーい!
これが萌えというものか、シェフィが私に対する感情の一部が何となく理解出来た気がする、愛玩というか可愛としいというか、ギャーっ!って感じで抱きしめたくなるね。
「お風呂も一緒に入る?」
「そ、それは恥ずかしいので、また・・・」
私は心に誓った、ニーナがお風呂に入ったら途中で乱入しようと。
***
朝食を摂ってコクピットへ行くとシェフィがオペレーター席から振り向いた
「おはようございますノワ様、ニーナ様」
「おはよう」
「おはようございますシェフィさん」
昨夜と変わらない位置と姿にまさかと確認をとる
「シェフィもしかして徹夜した?」
「はい、いいえ、問題有りません、私は人造機械なので人のような時間の概念には縛られません」
「それは知ってるけど、ちゃんと休んでね」
「そうですよ、急ぎのお仕事も無かった筈ですよね」
「はい、いいえ、私は今回お邪魔かと思いまして」
「「・・・」」
あ、気を遣ってくれたのね、そうだよね、ニーナさんは兎も角、私はムラム、ゴホン、戦闘で興奮しているのシェフィなら把握してたもんね。
キャプテンはブラックダイヤ号、シェフィが敢えて席を外していたなら、相手は言わずもがなだね。
「ご、誤解してほしくないのですが、私は誰でも良いという訳じゃないですよ!」
「あ、はい、えっと、私もなんかこう、そういう気分だからって誰でも良い訳じゃないです、ハイ」
え、シェフィやキャプテンとはヤったろ? シェフィは私が主だからねセーフ(?)、キャプテンの時は私がお酒で前後不覚 (覚えていない)になったからセーフ(?)、つまり初めての相手はニーナさんって事になるからオールセーフ! よしっ!
世の中には追及してはイケナイ話も有るんです、さてこの話はここまでにしてミュウちゃんと連絡取って打ち上げ打ち上げ。
朝早くにメッセージの返事が着信していて、今回はお父さんのワタリさん紹介のお店でご馳走してくれるらしい、前回の時はミュウちゃんが途中で眠っちゃったから次はお昼にしましょうってお話らしい。
暗黒生命体討伐戦線の報酬は規模が大き過ぎるし、未だに軍によるタンパク源の回収は終わっていないので報酬の計算支払いは1週間は掛かるだろうとのキャプテンの読みだから、まあゆっくり過ごすよね。
宇宙海賊も該当宙域に潜伏していた殆どが暗黒生命体の同化艦として処理されたから治安も良く、傭兵が稼ぐような仕事も無い。
因みに報酬の支払いは作戦全体で膨大な金額になるけど、暗黒生命体と同化した航宙艦からは艦に使用されている希少金属と肉塊が混じりあった事で生まれる超希少金属が回収出来るので帝国軍の方も十分潤う。
傭兵も儲かる、軍も儲かる、お金と資源はコロニーで回るので死なない限りは皆万々歳なのだった。
「お姉様ーー!!」
「おっとと、ミュウちゃんただいま」
「お帰りなさいませ!」
「おやおや、お嬢様はしたないですよ」
「妬けるなあ」
お店前での待ち合わせに行くとミュウちゃんが飛び付いて来る、サトゥーさんはお世話係として苦言を、ワタリさんはあまりにもミュウちゃんが私に懐いているので羨ましそうに苦笑していた。
「この際だノワさん、ミュウのこと貰ってくれないかな」
「お、お父様!」
What's!? 突然何を言ってるのかなワタリさん、いくら科学の力で性別に捕われないことがスタンダードと言ってもミュウちゃんはまだ10歳、今からそんな事を言っても将来どうなるかなんて分からない、せめて15歳の成人を迎えた時にどうなるかでしょう。
ミュウちゃんに好かれているのは私でも解るけど、それは憧れとか歳上のお姉さん的な感覚がかなり強いと思うんだよね、勿論私もミュウちゃんのことは好きだけどそこは妹とか友達のような感覚が主たるものだ。
「わ、私は、お姉様が良いならいつでも・・・」
「ノワさんは、おモテになられますねえ・・・」
「私はノワ様が望むなら3人までは問題無くやり繰り出来ますよ、勿論私は3番目で構いません」
みんな何言ってるのかな、特にニーナとシェフィ、貴女達だよ。
ミュウちゃんは満更でもない感じで照れながらくねくねと体をくねらせる、ニーナは瞳のハイライトが消えた恐ろしく冷たい目で私を見詰める、シェフィは3人までならOKと、3人て何!?
キャプテンは!? え、キャプテンは数に入らないって、やりたい時にやる相手だからセフ・・・何言わせるのかな! そもそもミュウちゃんもそこの枠に入らないからね、10歳ですよ10歳、幼気な少女を相手にハアハアする程私は欲求不満じゃない。
ん、好みかどうか? とても可愛い子だと思うよ、明るい茶髪に眩しい笑顔、好意もストレートに伝えてくるから可愛がりたくなるよね。
ちょっとシェフィ、今ピコピコって何か記録したよね、待って違うから本当に庇護欲的なアレだから、おーいシェフィ。
あ、ニーナ違うから怖い怖い、そんな死んだ目で見ないで、キャプテンは事故、シェフィはシェフィだから、あれそうなると初めての恋人はニーナになるのかな改めて考えてみると驚愕の事実。
「初、恋人・・・」
ぽつりと呟くニーナが可愛い、釣られて私もなんか恥ずかしいんですけど、ついつい手を伸ばしてニーナの手を握った。
「あ・・・」
「えへへ・・・」
「む、お姉様とニーナさんがなんかラブい空気纏ってます、出航する前はホストとお客さんって感じだったのにむむむう!」
ズールーいー、とミュウちゃんが反対の腕に抱きついて手を握った。
「む」
それを見たニーナが握った手を解いて指を絡ませる恋人繋ぎに変えた、いやミュウちゃんに張り合わないでニーナさん?
「むむ」
「むむむ?」
おふたりさんやおふたりさん、落ち着いて下さいませ?
特にニーナさん、貴女がフルパゥワーで私を引っ張ると大変な事になるからね、身体置換技術入っているから私なんて簡単に裂けちゃうからね、死にたく有りませんお願いします。
キャプテンそこで忍び笑いしないで助けてー、シェフィもニコニコしてないでさ、ワタリさんもサトゥーさんもだよ。
「私気付いちゃいました、お姉様が15歳でニーナさんは21歳、私が15歳になる頃にはお姉様は20歳なので何も問題ないって」
それまで私の事覚えていると良いね、うんうん、私は曖昧に頷いて誤魔化した、「はい」とも「いいえ」とも答えない、きっと私よりも良い人が現れるよ。
「ノワ様より性格が良くて」
「腕が立って」
「収入の多い航宙艦乗り」
「居ねえだろうなぁ、そんな都合のいい人間、寧ろノワでさえ都合が良過ぎるくらいだわな」
「確かに・・・、ノワさんみたいな優良物件、軍でも居ませんね、お金は有るけど正確に難のある貴族とか、性格は良いけど収入は普通なら沢山・・・」
「はっはっは、ニーナのことを当て擦るつもりは無いけど、軍で出世するんなら性格は悪くないとねえ!」
ええ、性格悪い人じゃないとお金持ち居ないのって偏見過ぎない?
その理論で言えば私も性格悪いんだけど、どうなんですかねその辺りは。
「ですからノワ様はその枠に当てはまらない優良物件枠というお話ですね」
なるほどね、でも私は少なくとも今のミュウちゃんはそういう相手として見てないからね、さあ店の前で邪魔になっちゃうから入ろう入ろう、うんうん、いっぱい食べて飲もうよ、支払いは任せて!あっはっはー。




