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ノワの方舟  作者: EVO
先の星へ
19/71

センターコロニー・グラッドストン

短くてすまない・・・、手術なんだ・・・

 特に宇宙海賊や暗黒生命体に遭遇することも無く私達アークとヴァリアントはセンターコロニー・グラッドストンに無事到着した。

 暗黒生命体には早々遭ってたまるかって気はするけどね、流石に戦闘艦が単艦で暗黒生命体に遭遇したら逃げるが勝ちだ、アークは強い艦だし私も腕にはそれなりに自信があるけど、数の暴力は簡単に覆せるものではないのだ。

 もし出会ったら、前回のように開幕爆縮弾と超重力砲(グラビティブラスト)をぶっ放して即逃げ安定だよ。


 グラッドストンはセンターコロニーと呼ばれるだけあり、私の知るサジタリウス系コロニーとは遥かに規模が違う、サジタリウス系コロニーが花の花弁1枚程度とするならグラッドストンは花そのものの大きさを誇る。

 航宙艦産業が盛んなので航宙艦の出入りが多い、それは帝国軍も傭兵も民間もとなれば港湾もまた広くなるのも道理だ。


『キャプテン・ノワ、貴艦の迅速な対応、真に感謝する、後日我が主が直接礼をしたい言っているのだが・・・』

「はい、えーっと、分かりました、当面の間センターコロニーを拠点に活動するつもりなので連絡を貰えたら」


 後日の御礼をと言われて一瞬面をくらったものの、チラッとキャプテンを見ると私に任せるといった様子なので素直に受ける事にした。

 流石に1億マニも受け取っておいて、はいサヨナラとはいかないので私からも御礼と言うか謝意を直接伝えた方が良いだろうと判断した。

 1度傭兵ギルドへ立ち寄って救援の件の報告を挙げ、宇宙海賊の情報も仕入れておかないと闇雲に行動する訳にはいかないからね、どちらにせよ補給もするし、これだけ大規模なコロニーは初めてなので観光もしたいので時間はある旨を伝えた。


 ***


「ギルドへ行って情報と補給、次に」

「勿論食材マーケットに決まっているだろう! センターコロニーにゃ各星系の美味珍味が揃っているからねえ! ついでに酒も」

「キャプテンの場合ついでが食材でしょうに」

「まあまあ、私も最近はキャプテンが選んだ食事を楽しみにしてるしいい事だと思うよ」

「ほーらな!我らがキャプテーン・ノワールが言うんだ文句あるかい!?」

「アハハ」

「あまり調子に乗ると禁酒命令して頂きますが、まあ良いでしょう・・・」

「しゃあっ!許された!」

「許してません」


 ウキウキなキャプテンとジト目のシェフィに私も笑いながら今後の予定を話していた、元々半機械生命体(ハーフメカロイド)の私は食に対する興味が人間より薄い、不味くてもいいと言う訳では無いんだけど、そこそこの味でお腹が膨れて栄養が取れるなら不満を持ちにくい種族なのだ。

 本物の食材のパフェは別だけど・・・、シェフィは人造機械(アンドロイド)なので、コミュニケーション上で食事は共にするけど身体構造上必要とはしていない、キャプテンは人間種なのでアークの中では最も三大欲求を強く持っているクルーとなるのだ。


 そのキャプテンの強い希望でアーク内の食事は改善された、いや改善と言うと元が酷いみたいな言い方になるから語弊があるのだけど、合成食にしたって見た目が全てペースト状なだけで完全栄養食なんだから悪くは無かったのだ。

 まあ食事の質が向上した、と言うのが一番適切な表現になるのかな?

 自動調理器による合成食や培養肉の料理とは別に、キャプテンが自ら腕を奮ってくれる品が必ず1品、余裕があれば大半をキャプテンが作ってくれたりするのだけど、また食べたいと思える程美味しい物が出てくる。

 酒呑みらしく塩気がある濃い味風味が多いけど、そこはシェフィがアンドロイドの強みを活かしてトータルで完全栄養食に仕上げているらしい、そのお陰で家政プログラムのブラッシュアップが進み、料理スキルが向上していると微妙な顔をしていたけど、私が美味しい!と食べている事でお世話欲求を満たしてくれる為、最近ではシェフィが勧んで手料理を作る様になっている。


 手料理っていうのは料理人を雇う層が食べられる贅沢品で、私の様な (元)一般人にとってはお貴族様の食事というイメージがとても強い。

 自動調理器の機能でペースト状のナニカを肉っぽくしたり、魚っぽくしたり、野菜っぽくしたりは出来るのでソレをシェフィが調理して料理を仕上げるような感じだ、偶に本物の食材を使って贅沢したり、私には本物の果物を使用したパフェを作ってくれたりと今では食事を大いに楽しんでいる。


 傭兵ギルドでは近隣宙域のギャラクシーマップの更新、また救援要請から護衛を引き受けてセンターコロニーまで来た事を報告しておく、先に記録しておいたヴァリアントとのやり取りも提出したので何かあればギルドの方で対処してくれるだろう。


「さあ行くよ!」

「キャプテンそんなに急いで此処来た事あるの?」

「アタシも初めてだけど、既にマッピングと目当ての店のチェックは万事オッケーさね!」

「こういう時だけは素晴らしい仕事をしますね、借金を一部でも返しては?」

「あーあー、聞こえなーい!」

「フフッ」


 まるで子供みたいなキャプテンに私は噴き出した、シェフィも本気で借金の督促をしている訳では無かったので、ヤレヤレと苦笑していた。


『ギャラクシーマーケット』


 紫色の怪しいネオンで彩られた食材区画へ来ると、多くの露店やら店舗が建ち並んでいた。






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