乳傑断魔 ピゾン ③
「―――ドリル!!」
ピゾンの掛け声と共に周りから乳白色の母乳ドリルが幾つも地面から突き出し激しく回転を始めた!
「チルミーソード!!」
―――ザンッ!
チルミーソードで地面を突き刺すと、母乳ドリルは霧散しその場には粉ミルクだけが残された。
「ワタクシの母乳が!?」
ダンカンはチルミーソードを構えピゾンに斬り掛かった!
―――ザンッ!
チルミーソードがピゾンの片乳を捉える!
「ギャア!!……ってあれ? 痛くないわ!?」
確かに斬られた感触があった片乳は何事も無かったかの様にそこにあった。しかし、直ぐにその異変に気付く……
「……!! ぼ、母乳が出ない!!!!」
何とピゾンは斬られた片乳から、母乳が一切出なくなってしまったのだ!!
「あと一つ……」
ダンカンはもう一度チルミーソードを構えた。
「や、止めて……!! 来ないで……!!」
ジリジリと歩み寄るダンカンに、ピゾンは泣きながら懇願した。
「ダンカン様……格好良い♡」
「……はぁ!?」
両手を組み惚れ惚れしているサヤカと、『当然じゃ』と言った感じのナツメ。二人はダンカンの勝利を確信した。
「止めて……お願い……!!」
尻餅を着き酷く狼狽えるピゾンに、ダンカンは憐れみを感じチルミーソードを下ろした。
「ダンカン様お優しい……♡」
「ダンカン何をしておる! 腐っても乳英雄じゃぞ!?」
「その通りだわ! 死ねぇ!!」
隙を突いたピゾンの母乳ドリルがダンカンに襲い掛かった!!
「な、何!?」
―――ブシュッ!
―――ブシュッ!
ダンカンは慌てて母乳を噴射するが、何故か母乳は上へと噴き出し為す術無く母乳ドリルがその身を貫いた!
「勝ったわ!!」
地面に倒れるダンカンを見てピゾンは思わずガッツポーズを決めた。
「ダンカン様!?」
「ダンカン死ぬな!!」
二人は慌ててダンカンの下へと駆け寄った。ダンカンは母乳ドリルでグチャグチャになっており、今にも死にそうであった……。
「だ、大丈夫……予約してある……」
―――ボタボタ!
その時空から母乳がダンカンへと降り注いだ。それは先程上空へと吹き出した母乳ヒールだった!!
ダンカンの体は見る見るうちに元通りに戻り、立ち上がるとチルミーソードを構えた。
「な……んだと!?」
「ダンカン様ぁ♡」
「うむ、心置きなく離乳させるが良いぞ」
「クソがぁぁぁ!!」
血走ったピゾンは片乳から母乳ドリルと母乳レーザーを噴射! だがダンカンは次々とそれらを切り落としていく。
―――ザンッ!
そしてダンカンのチルミーソードはもう片方の乳を捉え、ピゾンは母乳を出せなくなった……。
「そんな……そんなぁ……!!」
ピゾンの体から紫の煙が立ち上がり、徐々にその姿を消していく……。ピゾンは最後まで己の美を貫こうとしていた。
「……疲れた」
ガクリと肩を落としたダンカンを、サヤカは優しく抱き抱えた。
「お疲れさまでした♡」
「すまない……少しだけ寝るよ」
「はい、お休みなさいませ♡」
その日、コロシアムはその役目を終えた―――




