母乳コーティング
「なんだぁ?」
母乳処刑人は不思議な顔で漆黒のダンカンを見つめた。先程まで頼りなかったその体は瞬く間に禍々しく猛り、見る者の背筋を凍らせるような残酷さを放っている。
――おっとぉ!? 選手の一人が突如真っ黒に染まりました!! これは一体どうゆう事なのでしょうか!?――
ざわめく会場はこれから何が起こるのか分からず、皆が一様に物珍しそうな気持ちで眺めている。
「ガアァ!!」
光よりも早い母乳レーザーが母乳処刑人のボディへ―――!!
―――ピシュン……
「!?」
「むむ! ダンカンの母乳が弾かれたじゃと!?」
岩をも簡単に突き抜ける母乳レーザーが、母乳処刑人の脇腹へ当たった途端に撥水するかの様に球となって綺麗に弾かれたのだ!
「……チッチッチッ! オイラの体はピゾン様の母乳でコーティングしてあるんだぜぇ! さっき喰らった酸の傷痕意外、普通の母乳は―――」
―――パァァン!!
その刹那、母乳処刑人の頬を母乳レーザーが貫通した。母乳処刑人の頬は弾け飛び、体はグルンと回って地面に倒れ込んだ……。
「……アホがおる」
「……え、ええ」
弾みで落ちた母乳玉をダンカンは拾い上げ―――
―――パクッ!
なんと大きな口で呑み込んだ! 一瞬のことに誰しもが我が目を疑い、会場は水を打った様に静まり返っていた……。
――えー……母乳処刑人が一瞬でやられました、ね。まずいです。ピゾン様がメッチャお怒りです。皆様、避難してください。ここから先は命の保証は致しかねます。じゃ、私も逃げますね――
淡々と流れるアナウンスを皮切りに会場は騒然となり、我先にと逃げ出す人々で溢れかえった!
「何じゃあ?」
あっと言う間にコロシアムはナツメとサヤカ意外、数人の物好きしか残っておらず、その静かなコロシアムの扉が盛大に吹き飛ぶ音をゴング代わりに第二ラウンドが始まった!!
「久々に乳のある母乳一族が現れましたわね。ワタクシが直々にお相手致しますことよ?」
天色の緩いウェーブの掛かった長い髪とロングスカート。そして上半身裸……乳英雄の戦闘スタイルそのものだ!!
「き、綺麗……」
「ピゾンは母乳一族の中で最も『女』に近い存在だったのじゃ。奴の母乳神はさぞかし美しいのじゃろうな……」
ナツメは落ちていたポップコーンを頬張りながら、呑気に成り行きを見守っている。
「すぐに殺すには惜しいですわ。いたぶって差し上げますから、おいでなさいな♪」
ピゾンが甘い声と人差し指でダンカンを誘う。するとピゾンコロシアムの至る所に、母乳で出来たと思われる揺らめく球体が浮かびだした―――
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