金の乳首 銀の乳首
「母乳コロシアムについて詳しく聞いてもいいかな?」
皆に手渡されたジュースを一口飲んだ辺りで私はサヤカに問い掛けた。その隣でアマンダは気にする事無く一息で飲み干しておかわりをせがんでいる。
「ええ、何なりとどうぞ」
「『銀の乳首』って……何?」
「なんだ、そんなことも知らないで母乳一族をやっているのか!? とんだ甘ちゃんだな!」
アマンダが口を挟んできたが、好きで母乳一族とやらをしているわけではない……。
「ダンカン様、『銀の乳首』とは『母乳神殿』を開けるための鍵の事です。『金の乳首』と対になっています」
サヤカが優しい口調で説明してくれる。誰かさんとは大違いだ。
「その『銀の乳首』が賭けられる……って事は主催者がいるわけだよね?」
「はい。乳英雄が一人『乳傑断魔 ピゾン』です。母乳コロシアムの真の目的は、母乳一族を誘き出して殺し、母乳神を我が物にしようとしているのです!」
(うわぁ……聞かなきゃ良かった……!!)
私はオッパイに釣られて母乳コロシアムに参戦を決めたことを激しく後悔した。しかし、ビキニアーマーから見えるサヤカの乳を眺めているうちに何故かムラムラとやる気が沸いてきた。仕方ない、適当に出るか……
「おい女! もし母乳コロシアムで勝ったら『銀の乳首』を俺によこせ!」
「貴方の目的は『母乳神殿』でしょうから、我々が保管して『金の乳首』揃い次第同行という形で如何でしょうか?」
「む、それなら……いいぜ」
強気なアマンダが大人しく引き下がる辺り、母乳ポリスの信頼は厚いのだろう……。持っていて盗賊に襲われたりする心配がある以上、アマンダもやぶさかではないのだろう。
「『母乳コロシアム』と言うくらいだから、相手も母乳一族なのか?」
「いえ、その時々で変わります。試合が盛り上がれば何でもアリなのが母乳コロシアムの売りなのです」
「ま、俺一人でも余裕だろ! お前らは後ろで見てればいいさ!」
余裕をかますアマンダ。出来ればそうあって欲しいところだ……。
「『銀の乳首』が賭けられるのは一週間後です。それまでに一度偵察に行きましょう」
こうしてその場は解散となった。私もナツメと宿屋へと向かうとするか……
「お待ち下さいダンカン様。貴方様には一度私と手合わせをして頂きたく存じます」
ギラリと光る剣先をこちらへと向け、サヤカは柔やかに微笑んだ。




