母乳ポリス サヤカ
「ぬぬ、スケベ野郎が来たわい……」
ソファで寛ぐナツメと幼女の元へと、私と母乳ポリスであるサヤカが合流する。
「す、すけべちゃわい! 急に何を言うんですか!?」
「なら何故貴様は母乳コロシアムへ行く気になったのじゃ? 顔に出ておるぞ! このどすけべ!!」
ナツメが私を指差しながらストローからジュースを飲んだ。何か酷い扱いを受けている気がするが、当たっているだけに何も反論出来ない……。
「おじちゃん、すけべなの?」
ナツメの隣に座りぷらぷらと足を振る幼女は無邪気に私の心を剔り取る。流石に幼女に言われると心に来る物があるな……。
「くくく、貴様母乳コロシアムがどんな場所か分かって受けたのだろうな?」
「……ごめんなさい、教えて下さい」
私が頭を下げると、ナツメはストローをコップから取り出し私の頭をペチペチと叩いた。
「この戯け者……母乳コロシアムは乳英雄が一人『乳傑断魔 ピゾン』が遙か昔に作った母乳一族同士の闘技場じゃ…………ええと……」
ナツメはソファの上からパンフレットを取り出しページをめくった。
「今では無差別に行われる娯楽性の高いコロシアムとして賭けの場となっている……そうじゃ」
エッヘンと言わんばかりにパンフレットを閉じて腰に手を当てるナツメ。読んだだけでここまで偉そうに出来るのは何故だろうか?
「私達母乳ポリスはそのコロシアムに『銀の乳首』が賞品として賭けられている情報を掴み、押収しようという作戦なのです!」
キリリと険しい表情のサヤカは乳を揺らしながら敬礼を決めた。……でかい。
「しかし母乳コロシアムは三人一組でのエントリー。後一人誰か強者を探さなくては…………」
―――ガチャ!!
「コラ! 離せよ!」
「大人しくしろ星二つ!!」
手枷と体に縄まで巻かれた金髪の見覚えのある女オッサンが私の前に突如として現れた。二度と会うことは無いと思っていたが、まさかこんなに早く再開する羽目になろうとは……。
「あっ!!」
「…………」
「アマンダではないかのぅ!」
私は思わず目を逸らしてしまった。何故ならアマンダの体を拘束する縄が酷く体に食い込み、胸がより強調される形になっていたのだ……。
「ダンカン! 良い所に! 助けてくれ!!」
「知り合いで?」
「……一応……かな」
サヤカの問い掛けに嘘をつく訳にもいかず、私は渋々関係性を認めた。
「何やら気性が荒そうだが、強いのか?」
「前に会ったときはゴロつきをやっつけてた」
サヤカは「ふむふむ」と頷くと、自前の剣でアマンダの縄をブチブチと切り始めた。痛々しく残った縄の痕が妙に目に入り何だか複雑な気分だ。
アマンダは解放されると大きく息を吸い、体を動かした。何故捕まっていたのかは知らないが、多分コイツと母乳コロシアムに出ることになるのだろう……嫌だな。
「そこの母乳一族! 私達と一緒に母乳コロシアムに出なさい! 然もなくばもう一度お縄にする!!」
「ん? へへっ! 俺も出ようと思ってたんだ。捕まるよりはいいさ。いいぜ、出てやるよ!」
詳細を聞かずに妙にすんなり受ける辺り、何やら思惑がありそうで怖い……。一応聞いておくか。
「アマンダ。何をして捕まったんだ?」
「食い逃げ♪」
アマンダの鮮やかな返答に、もはや言葉も出なかった…………




