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覇乳母神 チュベビ Ⅱ

「奴の力がこれ程とは―――!!」


 チュベビは焦りを感じていた。自らのテリトリーである母乳の海へとダンカンを誘い込んだにも関わらず、母乳の海は漆黒へと染められお株を奪われる始末。内心これではコヌビがやられても仕方在るまいと感じていた。


 その間にも次々と漆黒の母乳から獰猛な生物が顔を出し続ける。


 母乳ゴリラ 母乳カバ 母乳ホオジロザメ……etc


(このままでは離乳してしまう!!)


 チュベビは咄嗟に母乳レーザーで壁に穴を開けた! 小さな穴から勢い良く母乳が外へと噴き出し、壁はガラガラと大きな音を立てて崩れ去った! 行き場を失ったとき母乳生命体が母乳へと戻ると、チュベビは一息着きワイングラスへと母乳を注いだ。


「参った……我の負け…………だ!!」


 ダンカンの隙を突きワイングラスの母乳をダンカンへとぶちまけた! 飛んだ母乳は母乳デスストーカーへと早変わりしダンカンの目前に迫る!


  ―――ブシュウゥゥ!


 繰り出した母乳は母乳デスストーカーを木っ端微塵に吹き飛ばし、チュベビの心の臓をも打ち抜いた……。


「ぐぬぅ、コヌビよ……今、行くぞ…………」


 チュベビは仰向けに倒れ込むと紫の煙と共に消えた。残された母乳塗れのタキシードズボンだけが惨劇を物語っていた……。





「―――ダンカン!!」


 気が付くと知らない部屋で横たわっていた。壁には大きな穴が空いており、ナツメと攫われた幼女が私の側で心配そうに私を見つめていた。


「……またかい?」


 力使い果たし横たわったままニッコリと微笑む私に、ナツメは無言で頷いた。


「おじちゃん……死ぬの?」


 縁起でも無い事を言う幼女に、私は気合いで起き上がる。しかしフラフラとよろめいてしまい結局倒れてしまった。


「ごめん、少し休ませて……」


「構わん。皆逃げ出して、この城は誰もおらんからのぅ」


「おじちゃん……死ぬの?」


「ああ。少しだけ死なせてくれ……」


 私の意識は再びそこで途切れた―――

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