母乳サーバント
コヌビが痛みに耐えダンカンの方を向いた時には、ダンカンは四人になっていた!
「ナニっ! 母乳ミストの蜃気楼にしてはリアル過ぎるぞ!?」
四人のダンカンは同時にコヌビを取り囲み、コヌビに向かって一斉に母乳を発射した!
「―――!! まさか! 母乳を出せる母乳サーバントだと!!!!」
コヌビの母乳噴射でダンカン二人分の母乳を相殺するも、脇腹と馬の足に再び母乳を浴びてしまった。
「グヌゥゥゥゥ……!! まさかここまでの術者とは!!」
コヌビは大きく息を吸い込み、轟く様な咆哮を上げる!!
「ハアァァァァ!!!!」
母乳が発射されて遅れて噴射音が聞こえるほどの激しい高速母乳! 四人のダンカンは次々と母乳圧で首が吹き飛んだ!!
「やったか!?」
首の無くなったダンカン達は黒い母乳へと姿が変わり、ドロドロと地面に吸収されていく……。
「本物は何処だ!!」
「…………ハッ!」
変色した背中に痛みの他に僅かに感じる感触。コヌビが振り返ると、馬の背中に乗るダンカンがいた!!
「き、貴様ー!!」
この至近距離で逃げる術を持ち合わせないコヌビは、背中からダンカンの黒い母乳を全身に浴びた! そして紫の煙を上げながら地面へと倒れ動かなくなってしまった……!!
それと同時に倒れ込むダンカン。影から戦いを見ていたナツメは慌てて駆け寄った!
「―――ダンカン!!」
ダンカンの黒い母性エネルギーが収まり、徐々にいつものダンカンへと戻っていく。コヌビはそのまま紫の煙と化し、姿形まで無くなってしまった……。
「ダンカン! しっかりするのじゃ!」
必死に揺さぶるも目覚める気配の無いダンカン。
「誰か! 誰か居らぬかー!」
ナツメは必死で助けを求めた―――
廃墟と化した城の中に一人の男が居た。
「コヌビの母乳の臭いが消えたな……」
「本当でございますか!?」
後ろで跪く従者が驚きの顔を見せている。
「奴は乳英雄の中でも一番母乳が薄い。それでもあの臭い母乳に勝てる母乳一族がまだ居たとはな……」
男はワイングラスに注がれた母乳をクルクルと混ぜると、一口に飲みほした。
「探し出せ! 次はこの覇乳母神チュベビ様が相手になってやろうぞ!」
「ハハッ!」
従者は静かに部屋を後にすると、チュベビの周りを母乳で出来た大蛇がグルグルと現れ牙を剥いた!




