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母乳アナライズ

 アマンダは腰に左手を当て、右手を変色した壁へと指差した。


「様々なトラップを見破る優れた母乳を噴射した。黄色がちょっと危険な罠、赤色がかなり危険な罠だから踏まないように!」


 アマンダはゆっくりと色の変わっていない地面を歩き始めた。石造りの地下が黄色と赤の模様に変わる様は不気味さが窺えるが、私は言われた通りにアマンダの後ろをついていった。


「この紫は?」


 私は天井に見えた掌サイズの紫色の罠を指差しアマンダに問い掛けた。


「それはクソ危険なヤツ。絶対に触っちゃダメよ。母性を奪われ……母乳神の加護が減るのよ」


 良く分からんがとりあえず君主危うきに近寄らずの精神で放っておくとしよう……。



 石造りの通路を抜けると、奥に台座が聳える広間へと出た。どうやらここで行き止まりの様だ。台座の上には古ぼけた宝箱が一つ鎮座している。


「ウヒョ! お宝ちゃん!!」


 アマンダは宝に向かって全力で駆け出した。


  ―――カチッ


 アマンダが踏んだ床が奇妙な音と共に僅かに凹んだ。


  ―――ビュン!!


 壁から高速で噴射された矢がアマンダに向けて襲い掛かった。しかしアマンダは臆すること無くジェット噴射の如き母乳噴射で矢を弾き返した!


「おっと、危ない危ない……俺としたことが迂闊だったぜ~」


 アマンダは母乳アナライズで宝箱周辺をサーチし始めた。私は弾かれた矢を目で追うと、そこには一人の年端もいかない幼子が倒れていた!


「アマンダ! 誰か倒れているぞ!!」


 私は慌てて駆け寄り幼子を抱きかかえた。両腕に収まるサイズの少女だったが、酷く衰弱している様で息が辛うじてあるくらいだ……。


「まだ生きてるぞ!」


「どうせ罠に掛かったマヌケでしょ? 放っておきなさい」


 私はアマンダの声を無視し、片乳を曝け出した!

 衰弱した幼子に飲ませる最善の母乳は……!?


 私は瞬時にイメージを積み重ね、生まれたての赤子が飲む初乳の様な、生きる上で必要不可欠な栄養素が豊富な母乳を僅かばかりに凝縮し幼子の口に与えた。


 私の母乳を飲んだ幼子は全身から光を発して、見る見るうちに顔色が良くなっていく!


 これが老人から与えられた母乳神の加護の力なのだろうか!?


 幼子が私の腕の中で目を覚ますと目をパチクリとさせ、私の顔と乳を交互に見比べた後、声を発した。


「今の母乳は……お主か?」


 見た目に反し大人びた話し方をする幼子に意表を突かれたが、私は黙って頷いた。


「……もっとくれ」


 そう言うと幼子は私の乳にむしゃぶりつく様に、私の意に反して私から母乳を猛烈な勢いで吸い始めた!

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