第三十八話
大変遅くなり申し訳ありませんm(__)m
「……ソ連戦車百十二両、野砲十九門、重砲十六門……これを開戦三日でルーデルが撃破したのか?」
「その通りですマインフューラー」
ソ連とフィンランドが開戦してから三日、総統官邸で報告を聞いた俺は苦笑していた。撃破数が異常なのは飛行場と戦場が近いと思われる。
「……部隊で……ではないな?」
「ルーデル少佐個人です。ですがその……」
「何だ?」
「ルーデル少佐が指揮する部隊の戦果はこれの約二倍余りです」
「……( ; ゜Д゜)」
……開いた口が塞がらないというのはこの事かもしれんな。その内ルーデルの後継者がわんさかと出そうだな……いやソ連限定かもな。
「……兎に角また新しく鉄十字章を作らねばならんな」
「……いっその事、鉄十字章は等級に分けますか?」
「……それが良いかもしれんな。それとルーデルに伝えてくれ、撃破数は正確に報告をしてくれ。部下にやるのは駄目だ(未来のウ〇キを遥かに上回る戦果だろうな)」
という事で鉄十字章に等級が課せられて、ルーデルは史実より早くに騎士鉄十字章を受章する事になった。
後に輝義も日独友好の架け橋になったとして柏葉・剣付騎士鉄十字章を受章した。史実だと日本軍人は山本五十六しか受章していない。ドイツ軍人だと総統閣下シリーズで有名なヘルムート・ヴァイトリング(中の人はグストロフ号の悲劇にも出演)、ヘルマン・フェーゲライン、他だとゲルハルト・バルクホルン、ミハイル・ヴィットマン、エーリッヒ・フォン・マンシュタイン等が受章している。(まぁ後に受章するが)
なお補足ではあるが、未来のウ〇キでルーデルの事は『人類最強の急降下爆撃機乗り』『急降下するために生まれた男』『ルーデルさん、此方です!!』と言われるようになる。
「総統、フリッチュです」
「うむ」
フリッチュが入室してくる。
「総統、中東に攻め込むのですか?」
「リッベントロップの努力が漸く実を結んだのだ。まず中東の部族に武器を輸出させる。彼等が反乱した後を我々が占領する」
「分かりました。政治的な事は総統にお任せします」
「戦闘は君らに任せる」
とりあえず中東は宗教がネックだからなぁ……。ちゃんとしておかないと聖戦という名のテロ活動が起きるな。これは必須だと思う。
ユダヤ人をエルサレムに送ってはいるが……。絶対に起きるねうん。とりあえずドイツが標的になるのは阻止だな。
でも中東は手に入れたい。何せ中東には油田が眠っている。それに自由イギリス軍も中東に構えている。
中東付近を攻略すれば自由イギリスにも止めは刺せると思う。それと中東の上はソ連がいるしソ連を牽制する意味では是が非でも中東は取らなければならない。
「フリッチュ、中東へはどれくらいの戦力を出せるかね?」
「在エジプト軍団の四個装甲師団、七個歩兵師団です。準備期間を設けて下されるのであれば更に二個ずつの装甲師団と歩兵師団が用意出来ます」
「……順当な戦力だな」
……だが、この戦力だけで中東の自由イギリス軍を駆逐出来るかは不明だな。それなら……。
「フリッチュ、輸出用の三号戦車や小銃類はまだあるな?」
「は、勿論有りますが……」
「……ちょっと待ってくれフリッチュ。おい、リッベントロップを呼べ」
程なくしてリッベントロップが部屋に入室してきた。
「何用でしょうか総統?」
「リッベントロップ、直ぐにサウジアラビアと連絡を取ってくれ。内容は枢軸国側の加入と武器提供の見返りに石油の購入だ」
「……アラブ人を此方に付けるのですか?」
「そうだ。アラブ人の事はアラブ人に聞くしかあるまい」
「分かりました総統。直ちにサウジアラビアとコンタクトを取ります」
そしてリッベントロップの部下がサウジアラビアに入り国王のアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードに謁見。アブドゥルアズィーズ・イブン・サウードは開発が中断していたダーランのダンマン油田の開発協力を提示した。
俺自身も異論はないので了承してサウジアラビアの枢軸国加入と武器提供の見返りの石油購入が実現した。
「とりあえずは石油の出所が分裂しただけでも良しとするか」
ドイツはオランダから石油を提供してもらっていた。見返りは武器提供であるが、輸送途中で史実日本のようにガトー級でボコられて石油が枯渇するような事をしないがためのサウジアラビアだからな。
オランダの輸送船団はマダガスカルまでは日本の護衛艦隊が護衛していた。セイロン島は結局史実通りに攻撃しただけで攻略は輸送がネックで断念していた。
それでもセイロン島の機能は大規模に低下してオランダの輸送船団を攻撃するような事はなかった。
一方、アメリカはどうだったのだろう。
「それでニューカレドニアはどうかね?」
「一進一退が正しいと思います」
ルーズベルトの問いに海軍作戦部長のキングはそう答えた。
ニューカレドニアは突貫工事で出来るだけ要塞化になっていた。ニューヘブリデス諸島までは軽い損害で攻略していた日本であったがニューカレドニアを攻略する船団をニューヘブリデス諸島に停泊させたところ、少数ではあるが艦載機の空襲を受けた。
損害は輸送船二隻が炎上するだけに留まったが、この攻撃で陸海に慎重論が出始めた。輝義自身は問題ないと思っていたが、裏をかくように米機動部隊(ヨークタウン、ホーネット、ワスプ)がソロモン諸島のガダルカナル島の航空基地を空襲して損害を与えたのだ。
この世界のガダルカナル島はニューヘブリデス方面の中継基地の役割をしていた。この空襲で輸送船三隻が撃沈され陸海は激震が走った。
「早期にニューカレドニアを落とすか米機動部隊を殲滅するしかない」
陸海の首脳陣はそう決断をしてニューカレドニア攻略を決定した。そして陸海は欺瞞情報を流した。
『日本軍はニューカレドニア攻略よりフィジー諸島を攻略する』
解読された内容にニミッツ大将やキングは首を傾げた。フィジーはニューカレドニアより遠いので輸送がしにくい筈なのに何故フィジーを……?
しかし、ガトー級潜水艦がフィジー方面へ向かう多数の船団を発見してニミッツは決断した。
「スプルーアンスの機動部隊をフィジーに下げよ」
米機動部隊はフィジー方面に向かったが、これこそニミッツの失策であった。
「ニューカレドニアより緊急電!! ジャップの機動部隊の空襲を受けている模様です!!」
今度は米海軍に激震が走った瞬間であった。
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