第二十八話
色々崩壊してます。
「フハハハハハッ!! ドイツの兵器は世界一ィィィィィィッ!!」
五号戦車ティーガーのキューポラから顔を出している少佐はそう叫んだのであった。
「この五号戦車ティーガーの戦車砲は高射砲のアハトアハトを基準にィィィ作られておるのだァァァッ!! そしてェェェ四号戦車パンターの戦車砲は三号戦車より強力な七十口径七五ミリ戦車砲を搭載しているのだァァァッ!!」
「……あの、シュトロハイン少佐。狙撃されたりして危ないのでキューポラから顔を出して説明しなくていいですよ」
ティーガーの装填手がシュトロハインSS少佐にそう言った。
「ヴァァァカ者がァァァッ!! 読者の方に説明しておるのだァァァッ!!」
「判りましたから叫ばないで下さい」
砲手はそう言って逃げようとするマチルダ2に照準をして引き金を引いた。
五六口径のアハトアハトは火を噴いて徹甲弾はマチルダ2の前部装甲を貫通させて撃破した。
「ようし、この調子だッ!! 単騎で動くなよッ!!」
「シュトロハイン少佐、後方の部隊はどうしますか?」
「援護砲撃をしてもらおう。しぶとい奴には効くからな」
この混成実験戦車連隊はティーガーやパンターだけではなく、試製の三号駆逐戦車ラングや自走対戦車砲マルダー、ホルニッセ、三号突撃戦車ブルムベア、自走榴弾砲ヴェスペ、フンメル、ヘッツァー等が各車五両ずつが配備されていた。
後方部隊は支援砲撃を展開してティーガーとパンターの部隊を支援した。
「だ、駄目だ。この戦車ではジェリーに勝てないッ!!」
自由イギリス軍の戦車部隊指揮官はそう判断した。
「全車撤退せよッ!! 我々の戦車では奴等に勝てないッ!!」
戦車部隊は次々と後退しはじめた。
「少佐ッ!! 敵は後退を始めましたッ!!」
「……よし、現時点を拠点に陣地を固める」
「追撃しなくて宜しいのですか?」
砲手がシュトロハインに尋ねた。
「補給が無ければ我々は戦えんぞ。今回はイタリアとの戦いで油断している自由イギリス軍を叩くためだ。既に効果は絶大だろう」
シュトロハインはそう言って部隊の撤収を命じたのであった。
結局、ドイツアフリカ軍団はアジェダビアまで占領するとそこで一旦進撃を停止した。
理由は自由イギリス軍が占領しているマルタ島を攻略するためである。
ロンメルとしては素早くトブルクを占領したかったが、補給の問題もあるので南方戦域総司令官のアルベルト・ケッセルリンク空軍元帥(地中海・北アフリカ方面のドイツ軍を統括)はマルタ島攻略を命令した。
マルタ島攻略のためにドイツ軍は二個歩兵師団と三号戦車一個連隊、イタリア軍は三個師団と二個戦車連隊を派遣する事が決定。
ドイツ空軍はシチリア島に北アフリカへ向かう予定だった第六航空艦隊を派遣してイタリア空軍と共同戦線をとる。
海はドイツ海軍の第一機動部隊と戦艦ビスマルクを旗艦にした戦艦部隊に、同盟国であるオランダから燃料を提供されて復活したイタリア海軍は巡洋艦を中心とした艦隊が参加した。(戦艦は自由イギリス軍によるタラント港空襲で戦闘不能)
マルタ島への事前攻撃は第六航空艦隊がシチリア島へ進出した十二月二十日から始められた。
攻撃はクリスマスの二五日を除いて年末まで続けられた。マルタ島のイギリス軍の航空戦力はほぼ壊滅状態に陥り丸裸の状態だった。
マルタ島の占領のカウントダウンが入りそうな時、総統官邸では二五日にクリスマスパーティーが行われていた。
「諸君、メリークリスマスだ」
『メリークリスマスッ!!』
「今日は料理やワイン等を用意した。戦時中ではあるが今日はその事を忘れて大いに楽しもう」
俺はそう言ってパーティーが始まった。
「マインフューラーッ!! プレゼントはありますかッ!!」
「そうだな。俺から皆にこれをプレゼントしよう」
俺は衛兵から東方キャラを描いた紙を貰い、皆に見せた。
「幻想物語の登場キャラクターのクリスマスバージョンだ」
『オオォォォッ!!』
俺はサンタ服を着た氷精を描いた紙をゲーリングに渡した。
「ーーーッ!?」
「ゲーリングが発狂したぞッ!!」
「衛兵は早く来いッ!!」
「オンオンッ!!」
「そんなことよりおうどんたべたいッ!!」
……何かゲーリングがおかしいがまぁ良いか。どうせ何時もの事だ。
「私が撮影した空母グラーフ・ツェッペリンの写真もあるぞッ!!」
レーダーが数枚の写真を皆に見せた。
「空母より幻想物語だッ!!」
「レミリアはまだ何ですかッ!?」
「腋巫女ォッ!!」
「オンオンッ!!」
「……(´・ω・`)」
皆は空母より幻想物語を取った。レーダーが部屋の隅でいじけているが、後で慰めてやるか。
「ほらほら慌てるな。ちゃんと登場キャラクターは全員描いてあるから」
「俺、白黒の魔法使い二枚ッ!!」
「俺もッ!!」
「俺は人形使い三枚だッ!!」
フリッチュ達が設置した机に群がって絵を購入していく。元気過ぎるぞお前ら……。
「皆さん、メインイベントはまだ終わってませんよ」
「ん? どういう事かねエリカさん?」
「こういう事です。ヒルダちゃ〜ん」
「あ〜ちゃ〜ん」
そこへ吸血鬼姉妹の姉の服を着たヒルダ(製作者はゲルダ)がトコトコと俺のところへやって来た。ちなみにあーちゃんとは俺の事。(アドルフだからあーちゃんらしい)
『オオォォォッ!! レミリア様ァッ!!』
ヒルダの登場に吸血鬼姉ファンの奴等がライカを持ち出して写真を撮りだした。
コミケのコスプレを撮影するみたいだな……。
「うー☆」
『うゥゥゥゥゥーーー☆』
「……駄目だこいつら……」
俺は深い溜め息を吐くのであった。そして時刻も十二時を過ぎていた。
「よいしょっと」
俺は疲れて寝ているヒルダをベッドに入れて布団(日本製)をかけた。
「あーちゃん……」
「どんな夢を見ている事やら……」
俺はソッとヒルダの部屋を出た。
「あれぇ〜総統じゃないですくぁ〜ヒック」
「……随分と酔っ払ってるなエリカさん」
エリカさんは手に日本酒(よく大島大使がくれる)を持って千鳥足でふらついていた。
「ほら、部屋に戻って寝た方が……」
「まさか総統。部屋に押し込んで私に淫らな事を……キャー」
「……はぁ……」
俺は溜め息を吐いた。エリカさん、かなり酔っ払っている。
「兎に角部屋に……」
「うぅん……」
「エリカさん?」
そしてエリカさんはとうとう力尽きて廊下で寝出した。これは風邪を引くぞ。
俺はエリカさんをおんぶしてエリカさんの部屋に入ってベッドに入れた。
「さて、それではなエリカさん」
「うぅん……総統も寝ましょう〜」
「ちょ、エリカさんッ!?」
俺はエリカさんに手を掴まられ、引っ張られた。エリカさんは腕を俺の頭に回して固定してそのまま寝てしまった。
「……俺、死んだかな……」
俺はそう呟いた。
「……総統……」
この時、部屋の外にはゲーリングとゲッベルスがいた。
「……まぁ三十点くらいですね」
「……お前も悪どいなゲッベルス」
「ワインをエリカさんに飲ませた貴方に言われたくありませんね。それでは我々も引き上げましょうか」
悪巧みが成功した二人はニヤリと笑いつつ廊下を歩くのであった。
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