静かなる内戦27~マンサとアフィ
マンサは走った。
【母さんは怒るだろうな。アフィはうまく伝えられるだろうか。ファル達は無事にいてくれるのか?】
色々なことが頭の中に交錯した。
ジョラの村を西から東へ抜けるだけでも時間を有する。走り続けるしかなかった。
【私しかいないのだ!】
コンコン!ドンドン!
『エザ!エザ!エザのママはいますかぁ!』
『おや?どうしたんだい?アフィ。』
出てきたのはアフィと仲の良いエザの母親だった。
ハアハア! ゼイゼイ!
『走ってきたのかい?口の周りが真っ赤だよ。』
『あッこれはベリー。』
『怪我でもしたのかと思ったよ。』
『違うんだ! あの山の上に、フランス軍がいるよ!』
『えっ。』
『今さ、ベリーを採りにマンサと行ったらさッ。聞いたことのない言の葉しゃべっていた男たちがいてさっ。大勢。』
『逃げて来たのかい?!』
『一刻も早くみんなに伝えなきゃと思って。』
『確かかい?』
『うん、間違いない。なんか怒鳴ってた。』
『一回お水でも飲みな。』
『ありがと。』
アフィは一気に飲み干した。
『 わかった!皆んなに伝えよう‼ おばさんも協力する!手分けして‼ 』
『で、マンサは?』
『それがさ、ファルに伝えに行くって、、、』
『えっ‼ 本当かい‼ あんたたちの母さんは知っているのかい?』
『知らん。マンサはそんな時間ないって、、あたししか行く人間はおらんって。』
『困った子だ、、、けど、行ってしまったんなら、、、私があんたたちの母さんを説得するわ!』
『あ、はい。』
『それよりもまず、とにかく皆んなに伝えないとね。エザ!エザ!こっち来な!』
『あッアフィじゃん!どうした?口の周り。ハハハ』
『いいから、出かけるよ!』
『なんで?』
『行きながら話すよ。』
『あたしはこっちを回るから、エザとおばさんは向こうを。』
『わかったよ。アフィ、慌てずに。』
『はい!』
『あっアフィ。もう一杯飲んできな。水。』




