♯7
今回はカーネリアンの毒舌度は低めです。
今日は旦那様と面会をしました。
お嬢様の日常の報告もかねて、定期的に面会する約束となっているのです。
結果、実の娘であるお嬢様よりも頻繁に顔をあわせているこの現状。
解せぬ。
まあ、あのお嬢様のコミュ障ぶりでは仕方のないことなのでしょうか。
ただ実の父親ならもう少し何とか改善努力しろよ、とも思わなくはないですが。
もしくはすでにして諦観の域まで達してしまったのでしょうか。
……それはともかくあのお嬢様の状態は要改善が必須なのは間違いありません。
日常生活にも支障がおきてますし、実際。
嫁にもいけなければ婿ももらえませんね、あれでは。
貴族のご令嬢としては、それでは後々お困りでしょう。
まあ、何があっても私がお嬢様のそばを離れないのは決定事項ですが。
それはそれとして、旦那様の面会のことです。
旦那様、こちらが心配になるほど人がよろしいかと思われます。
こんなどこの誰とも知れないような幼女の私にでさえ、きちんとした対応をされています。
一人前の人間のへの対応を。
ええ、そう、一人前の対応を。
旦那様、旦那様の目下の人間へ見下したり傲慢な素振りをみせないところはとても素晴らしい美点だと、このカーネリアンは思います。
が、まだこの世に生れ落ちて数年の幼女に対し、お嬢様の教育方針や父親としての責務の悩み、果ては子爵家の資産管理運営の難しさを相談なされるのは違うと思うのですよ?
いくら私が年相応ではなくしっかりしてはいたとしても、知識としてそれらを保有しているわけでも経験として蓄えているわけでもありませんからね?
それとも、旦那様もあのお嬢様のお父君だけあってコミュ障の気があるのでしょうか。
悩み相談できるのが、こんな年端もいかない子供だけであるとか。
ああ、わかりました.
これが、残念な大人というものなのですね。
…………カーネリアンは、フローライト子爵家の未来が不安に思えます。
ただ。
旦那様はいつも、私の頭に手をあてて、「いつもありがとう、カーネリアン」と仰って下さいます。
旦那様のお声も、手のひらも、とてもいつもあたたかなもので、心地よい気持ちになります。
旦那様も、お嬢様も、私にとってはとても大切な方達です。
私は、誰よりもお二人に幸せになって頂きたい。
恐ろしすぎるほど、何かが抜けて足りないお二人ですから、それを補う為私の努力すべきところは多々ありますね。
腕が鳴ります。
これからは私自身のスキルアップに、お嬢様コミュ障克服の対策に加え、フローライト子爵家についてもよく学んでいく必要がありそうですね。
きっと、必ず、このカーネリアンがお二人をお守り致します。
実はカーネリアンの初恋は旦那様、だったりします。




