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18years  作者: 田中タロウ
74/109

第3部 第26話

え?モデル??

そこには物凄い美女が立っていた。


高いヒールを履いているが、普通でも170センチ近くはあろうかいう長身。

スレンダーなのに胸はしっかりとある魅力的な身体を真紅のロングドレスが包んでいる。

髪は緩くアップにし、耳元の髪は胸の下辺りまで流れていた。


雰囲気からして玄人って感じだ。


失礼も気にせず、思わずその美女を上から下までジロジロと見てしまった、が、

それはお互い様のようだ。

彼女も私のことをそれこそ嘗め回すようにジロジロと見た。

そしてお腹の辺りで目を止め驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になった。


統矢さんは一瞬気まずそうな表情をしたけど、

すぐに私が見たこともないような笑顔になった。


私は小声で統矢さんに言った。


「なんですか、その営業スマイル。気持ち悪いですよ」


すると統矢さんは笑顔のまま、私の横腹を肘でグリグリ押した。

こ、こしょばい・・・!

妊婦になんたる仕打ちを!!!


「愛。一年ぶりだな。元気か?」

「ええ、元気よ。そちらは?」

「妻のユウだ。ユウ、こちらは間宮財閥のお嬢様の愛さん」

「はじめまして、ユウさん」

「あ・・・はじめまして・・・」


間宮財閥。

政治経済に疎い私でも知っている、大財閥だ。

統矢さん、なんだってこんなお嬢様と知り合いなのか。


「ユウさんておいくつ?」

「えっと、19歳です」

「19!?」


愛さんの目が大きく見開かれる。

あ。なんかまずかったか。未成年だからか。お酒飲んだしな、しかも妊婦なのに。


「あ、でも、来年の3月には20歳になります」

「・・・そう」


一瞬愛さんが無表情になる。

でもすぐに気を取り直したように再び笑顔に戻った。


「おめでとう。お幸せに」


それだけ言うと、愛さんはさっさとどこかへ行ってしまった。


「・・・統矢さん、いいんですか?」

「何が?」

「だって・・・愛さんて統矢さんのこと・・・」

「うん、なんか前から言い寄られてる」


あんな美女に言い寄られてるのに私なんですか。


「さ。食おう」


おう。色気なら太刀打ちできないが、食い気なら負けねーぞ!




帰りのリムジンの中。

窓から流れる景色を見ていると、チラチラと白いものが降ってきた。


「わー・・・ホワイトクリスマスですね」

「え?ああ、ほんとだな。初雪だなー」


二人でぼんやりと雪を眺めた。

そのとき、ふと、あることを思い出した。


「去年のクリスマスイブ、私のこと拒否したのに、どうして数日後には部屋に連れ込んだんですか?」

「うわ、何を言い出すかと思ったら・・・ずいぶん前のことぶり返すな」

「あの時はどうでもいいや、って思ってたんですけど。どうしてですか?」

「お前、次の日に親父の部屋に裸でいたろ」


えっと・・・そうそう。

組長に抱かれた後、そのまま裸でベッドにいたら、統矢さんが部屋に入ってきたんだった。


「久々に裸のユウを見たらしたくなった」

「それだけですか」

「・・・それだけだ」

「じゃあ・・・いつから私のこと好きだったんですか?」

「忘れた」

「うわ」

「お前こそ。俺、お前に好かれるようなことした覚えないぞ」

「・・・さあ・・・」


統矢さんがため息をつく。


「ま、いいか」


そういうと、統矢さんがいきなりキスしてきて服を脱がそうとした。


「!!!ダメです!こんなとこで!それにもう・・・お腹こんなんだしできません」

「うん・・・産んだらまたできるか?」

「2ヶ月くらいは待ってくださいね」

「長いなー」


そう言いながらも統矢さんはキスと手を止めてくれない。

仕方なくしばらくされるがままだった。

まあ・・・嫌じゃない。


さすがに最後まではできないけど、

ひとしきり私の身体を堪能すると、統矢さんは息をついて私を抱き寄せた。


「来年のクリスマスイブは3人だな」

「そうですね・・・あ。お願いがあります」

「うん?」

「来年のクリスマスイブは3人でディズニーランドに行きたいです。私行った事ないんですよ。

パーティまでには戻りますから」


クリスマスイブのディズニーランド。

そこへ家族で行く。

なんか考えるだけで幸せな気持ちになれる。


「いいけど・・・子供が小さすぎてアトラクションは乗れないぞ?」

「いいんです。行ってみたいんです」

「わかった」

「約束ですよ?」

「ああ」

「うわー、統矢さん忘れそう・・・」

「言ったな。みてろ、絶対覚えとくから」

「はい!」


統矢さんの胸の中で幸せいっぱいで目を瞑る。


でも・・・


何故か胸騒ぎがする。

嫌な予感がした。


そんな日は本当に来るんだろうか?

それは果てしなく遠い気がする。

たった一年後のことのはずなのに・・・


そして・・・

私の嫌な予感は結構当たるんだ。








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