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18years  作者: 田中タロウ
28/109

第2部 第14話

一昨日はビール瓶で殴られて気絶した。

そして昨日(正確には今日)は組長に気絶させられた。


人間、こうも簡単に気絶してしまうものなのか。



朝の光が窓から差し込み、私は目を覚ました。

なんてロマンチックな目覚め。


が。

隣に組長が寝ているのに驚いてベッドから転がり落ちてしまった。


そうだったー!

さんざん攻め立てられていつの間にか気絶してしまったんだった・・・

そして朝までぐっすり・・・って。

私ってなんなんだ。


がっくりと肩を落としていると、組長も目が覚めたようで上半身を起こした。

そして私をみると、愕然とした表情になった。


「ユウ・・・お前、今まで寝てたのか?ここで?」

「え。はい」


何かまずかったか。


「俺も・・・今まで寝てたのか?」

「そうだと思いますが」


え?ええ?何?なんかダメだった?


「今何時だ?」

「ええっと、4時ですね、まだ」

「もう4時か」

「何かご用がありました?」

「いや・・・そうじゃない」


組長は「そうか、俺は寝てたのか」としきりに呟いた。

寝てちゃダメだったんだろうか。


私が不安そうな顔をしていると、組長は気を取り直したような顔をして、

風呂に入ろうと言い出した。


「一緒にですか?」


男の人とお風呂なんて!!!


「恥ずかしいのか?何を今更。せっかくこの部屋には風呂もついているんだ。

それにしてもいい眺めだな」


私は真っ裸で床にへたり込んでいるのに気づいて、慌ててベッドにもぐりこんだ。




結局、言われるままに一緒にお風呂に入り、

そそくさと上がろうとしたが、湯船に押し込まれて、そこでしばらくまた攻められた。

組長といい統矢さんといい、どこにそんな体力があるんだ。

さすが親子。


でも。

同じ男の人でも、ましてや親子でも、こうも違うものなのか。

何が違うのかって?

いや、その、アレコレですよ、うん、察してください。


例えて言うなら、

組長の場合は、長距離マラソンをしている感じ。

私がランナーで、組長はペースメーカー。

私のペースに合わせて走ってくれているようで、さりげなくリードしている。

気づかないうちに私は自分の限界を超えている、そんな感じ。


統矢さんの場合は、一緒に短距離走をしている感じ。

一気に一緒に走り抜けて、一緒に倒れる、そんな感じ。


どっちがいいとか言うわけではないけど、

私は組長の方が好きかな。


なんて考えている私って一体・・・




完全にのぼせ顔で組長の部屋から出ると、

廊下で見張りをしていた人たちが一斉に振り向き、ぎょっとした顔をした。


さあ、また恥ずかしさで死ねるぞ、どんとこいや!


「お前・・・今まで組長の部屋にいたのか?」


マサさん。そうだよ。ビール瓶で殴られるより衝撃的な出来事だったよ。


「夜からずっと?」

「はい。ずっといました」


恥も何もあったもんじゃない。

それにしても、組長といい、マサさんといい、なんで私が一晩中組長の部屋に居たことに

そんなに驚くのか。


浅い知識で申し訳ないが、普通こういう場合は朝まで一緒じゃないの?




首をかしげながらも台所へ向かう。

なんかむしゃくしゃするので、今日もコウちゃんのお弁当にはハートマークをちりばめておこう。







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