第2部 第12話
あれから何時間たったのか・・・
その間、統矢さんは一度も私を離してくれなかった。
今夜自分の父親が抱こうとしている女を抱くなんて、
何を考えてるんだ、この人は。
父親への単なる反抗心か。
そもそも私をここへ連れてきたのは統矢さんだから、
「これは自分の持ち物だ」というアピールなのか。
なんであれ、こっちはたまったもんじゃない。
起き上がろうと、ベッドの中でモゾモゾと動いてみる。
すると隣で裸の統矢さんが目を覚ましそうな気配がしたから、動くのをやめた。
どうしよう。
今何時かわからないけど、夕食の準備には恐らく完全に遅刻だろう。
お藤さんに怒られるかな・・・
でも統矢さんのせいなんだし・・・
でもまさか、「統矢さんと寝てました」とは言えないし・・・
ダメだ、身体がいうことを聞かない。
諦めてもう一度ベッドに身を沈めると、統矢さんがまた覆いかぶさってきた。
「いい加減にしてください」
「うるさい」
そういって、唇をふさがれた。
処女だって前にちゃんと言っておいたのに、統矢さんはそんなことお構いなしだった。
ベッドに押し倒されたときは何が起きたのわからなかった。
呆然としていると、あっと言う間に着ているものを全部脱がされた。
「ちっちゃいなあ」
だったら辞めてください。
でもすぐに何にも考えられなくなった。
痛いやら、恥ずかしいやら、でもちょっと気持ちいいやら・・・
まいった。
トントン
「ユウ、いるか?もう8時だぞ、わかってるか?」
あ・・・
また寝ちゃってた・・・
「おい、ユウってば」
ドアの向こうから大輔の声がする。
返事をしようとしたけど、声がでない。
お断りしておくが、私は決してネグリジェの女のように喘いでいたわけではない。
必死に声を抑えていた。
そんなもの、誰かに聞かれた日には恥ずかしさで死ねる。
今声が出ないのは、単に寝起きだからだ。
「もしかして・・・統矢さん、いたりします?」
「おー、大輔。いい勘してるな」
「・・・マジっすか。勘弁してくださいよ」
ぎゃー!!
統矢さん!!!返事しないで、しないでぇ!!!
もう遅いけど。
は、恥ずかしいよぅ・・・ううう・・・
私が布団をかぶって真っ赤になってると、統矢さんはこともなげに言った。
「そんな心配しなくても、誰も気にしないって」
私が!!!!
私が気にします!!!!!
そんな私には構わず、統矢さんはさっさと身支度をして、出て行ってしまった。
ドアが開いたとき、一瞬大輔が何か言ってきそうな気配がしたけど、
座敷わらしのように布団を頭からかぶっている私を見て何も言えなかったようだ。
目を潤ませながらも時計を見る。
やばい。本当に8時だ。
夕食の支度どころか片付けの時間が迫ってる。
えっと、11時には組長のとこに行かないと行けないから・・・
20:00 お風呂
20:30 自分の夕食
21:00 片付け&お藤さんからのお説教
23:00 組長の部屋
頭の中にこれからの行動予定表がぱぱっと出来上がる。
私、いつの間にこんなに真面目になったのか。
取り合えず、恥ずかしさは忘れてお風呂だ!!




