緊急会議2
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人間の場合、余程優れた魔力感知の使い手でもない限り
身体的特徴を隠した獣人を見分けることはできないが
獣人同士ならば、魔力感知なしでもお互いに分かるのだそうだ。
獣人はこの国のみならず、この世界において契約者の従魔
ひいては神の使いとして神聖視されている。
本来は動物でありながら、神の力の一部を授かった獣人達は
人間とは違い、繁殖をしない。
数を増やすのは契約者が召喚され、さらに従魔として契約を結んだ時だけになる。
獣人同士が全ての獣人の存在を把握しているわけではないが
会った時に、相手が自分より古参の者かどうか位は分かるそうだ。
その結果、城下に出入りしていた見慣れぬ獣人はマイケルより
新参の者だということが分かった。ということだった。
「前回の入団試験で、魔術師団に獣人が2名入団したでしょう?」
「あぁ、確かに。タヌキとキツネだったか?」
「はい。入団する前は、世界中を渡り歩く路上パフォーマーだったそうです」
マイケルの問に、アーサーとケイトが答えた。
その肯定を受けつつ、マイケルは続ける。
「その2人は私より古参ですし、世界中を回っていたなら何か知っているかもと思い、話を聞いてみたんです。…私が神官補佐だと知って、最初はとても警戒していました。あの2人は、あのアカリ様の従魔でしたから」
その場にいた全員の顔が強張った。
その名前は誰もが知るが、決して口にはしない。
何が起きたかが語り継がれる中で、一種のタブーになっていた。
「ですが、時間を掛けて少しずつ話をし、私が新参の獣人の事を話すと、2人は意を決したように教えてくれたのです。『現段階では大きな異変は見られないが、今後何か起こった時、すぐに動けるようこの国の魔術師団に所属することにした。ウィムニスに滞在中、契約者に遭遇したから』と」
「ウィムニスだと!?なぜウィムニスに…」
「可能性としてはとても低いですが、不正召喚を行った者がウィムニス国民だった。あるいは本国で行い発覚することを恐れ、隣国で行ったか・・・」
「あるいはあの男が生きとるか、やな」
ランドルの言葉を聞いた陛下の表情が険しくなった。
心なしか、顔色も悪く見える。
マイケルが続ける。
「召喚方法を知っているのが神官のみという現実がありながら、我々の預かり知らぬ所で契約者が召喚されていた事実について、その2人に見解を聞くと、驚くべき真実を聞くことになりました」
それから語られたのは、裏切り者の神官スペルディアが幽閉されたその後の話。
主を殺され仇を打つことさえできなかった従魔の2人。
せめてその目で、憎き仇の死を確認したいと、当時の王に懇願した。
幽閉されてからかなりの時間が経過していたこともあり
王自身も、その屍を確認しておこうと、2人と共に牢へ向かった。
牢を見た3人は目を疑った。
そこにあったのは空の牢。屍どころか、人っ子一人いなかった。
見張りも立てていたはずなのに、一体どうやったのか
あるいは内通者がいたのか定かではないがヤツは脱獄したのだ。
その後、王は国民を混乱させるべきではないと、この事を公にはせず
秘密裏に捜索させたが、一向に見つからなかった。
結局長期に渡り捜索させたものの、実害が何もない上に
これ以上兵を疲弊させるわけにはいかないと、捜索を断念せざるを得なかった。
その後、本件に関しては箝口令が敷かれ、神官消失の件は歴代の王にのみ
語り継がれる秘密となったのだった。
従魔の2人は諦めきれず、その後も捜索を続けるべく
世界を旅するようになったとのことだった。
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次回更新は17日、木曜日を予定しております。
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