鬼も福も内
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「ではいっそ、こちらからは動かずに待ってみてはいかがでしょう?」
「待つ?・・・あ、なるほど。そういうことか」
鬼出現の一報が入れば、間違いなく騎士団が動くだろう。
捜索は男が襲われた所を中心に行うだろうから、きっと縄張りにも入ってくる。
そうなれば、ほぼ確実にエンカウントする。
わざわざこちらから乗り込まずとも
縄張り内でこちらが出迎える形にできるのだ。
「1つ忠告しておくが、間違っても戦闘にはするなよ。鬼を相手にするつもりできてるなら、精鋭部隊のはずだ。人間だからといって侮るなよ。ベルマーノの王国騎士団は強いぞ」
ヴィータがそこまで言うなんてよっぽどだ!
なんかちょっと楽しみになってきた。
何にせよ、時間が少しできたということ。正直助かるね。
まず、タツが回復できる。
異世界から無理やり召喚された上に、洗脳なんかされていた。
挙句の果てに仲間の死を知らさて、落ち着いて見えるけど
身も心もボロボロになってるし、混乱だってしてるはず。
体の傷は魔法で癒せても、心の傷までは癒せない。
時間が必要だった。
それから今後の動き方、作戦を立てることもできる。
現時点で一番怪しい神官と会うことになった場合
どのように立ち振る舞うのがベストか。
考えなきゃいけないことは山ほどある。
「とにかく、今日のところはゆっくり休んで。体力の回復に専念して、細かい話はそれからにしよう」
そして翌日、朝食後。早速作戦会議のはずだったのだが…
「タツの部屋を増築しようと思う」
「なっ!?ちょっと待て、いくらなんでもそこまで世話になるわけには…」
という話から始まり、この世界では鬼であるタツに居場所がないということ
神様と契約者の力があれば、建築は造作もないということ等
すべてを説明することになり、タツを説得するのにまぁまぁの時間を要した。
「では、部屋を1つ増やすことは、さほどの苦ではないのだな?」
「そうそう。この世界じゃタツは人前に出られないし、だからといってここまでしといてハイさよならって無責任な事をするつもりもないからね。ここで私達と一緒に暮らせばいいよ」
「ならば、何か俺にできることはないか?ここまで世話になっているのだ。礼をしなければ、俺の気が済まん」
「え、そんなの気にしなくても・・・」
そこまで言ってハタと閃いてしまった。
刀をもらえないだろうかと…。
でもどう考えても貴重な物だ。
おいそれと他人に譲るなんてことはしないだろうが、ダメ元で聞いてみる。
「あー・・・えーっと、その・・・実は、日本刀…欲しいんだよね」
「刀か…。さすがに俺のをやるわけにはいかんな」
「うん、そうだよね・・・。ごめん、無理言って。今のは忘れて・・・」
「だが、設備と材料さえあれば、打ってやることはできるぞ」
!?…今、なんと?
諦めかけた私の耳に飛び込んできた言葉が、あまりに都合が良くて
思わず疑ってしまった。
「え!?打てるって、刀を?」
「あぁ。俺達鬼は、自分の命を預ける刀を自らの手で作り出し、それができて初めて一人前と認められるんだ」
何そのシステム!?
「じ、じゃぁ、工房と材料を用意したら打ってもらえる!?」
「もちろんだ。渾身の一振りを贈らせてもらおう」
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次回更新は25日、火曜日を予定しております。




