家族 -sideヴィータ-
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「決まりだな。じゃあ俺は行くぞ」
俺は夜の町を飛び出して森に入った。
確か条件は「魔獣とも戦えて、人間の気配を感じられるくらい
街や街道に近い森の中」だったな。
だったら街道沿いに行くべきか。
いくら夜とはいえ、このスピードで街道を移動するのはさすがに
怪しまれると思い、少し森の中に入り街道沿いにひた走った。
不思議なもんだ。
カオリと一緒にいるようになってから驚かされてばかりいたが
今回もまた初めての感覚を味わっている。
ヴェールも言っていた、家族がいたらこんな感じなのかと。
自分でも柄にもなく浮足立ってるのは自覚している。
だが、あのガキんちょ共やカオリが喜ぶ顔をみてると
どうにもこそばゆいというか、たまらん心持ちにさせられる。
いつもの俺だったら、こんな面倒なことを進んで引き受けたりはしないし
やるにしても、魔獣を相手に暇を潰しながらテキトーにやってただろうな。
そんな事を考えながら全力で走ること3日。ちょうどいい場所を見つけた。
並の人間なら、休息を取りながら歩いて1週間程度かかる距離。
不眠不休で動ける俺達にとっては、なんてこと無い距離だ。
ミロットと首都の中間地点くらいの場所だった。
俺は少し考えて整地をした。
ガキんちょ共が思いっ切り走り回れて
俺が戦い方を教えてやれるだけのスペース。
それから6人で住めるだけの家を建てられるであろう範囲の木を回収する。
こんだけの広さがあれば十分だろうし
何も言わなくても、アイツらも気付くだろう。
そう思い、最低限の連絡とマーキングをして首都に向かった。
首都には何度も来てる。
契約者の召喚は、首都にある神殿で行われるのが常だからな。
だが残念なことに、一度マーキングをした場所も
俺たちと契約者の繋がりが切れるとリセットされる。
また1からマーキングをし直さなきゃならねぇのは正直めんどくせぇ。
各時代で多少の様変わりはあるが
基本的に首都の構造や店の場所なんかは変わらねぇ。
いつもと違うのは雰囲気が明るかったことだ。
俺達が見てきた首都はいつも世界的危機の最中にあったから
どんよりとしてたんだよな。
今は平和だからか活気があり、人間が皆イキイキとしていた。
見慣れてたはずの商店街。だが今回は景色が違って見えた。
雰囲気が明るかったからってだけじゃねぇ。
アレ買ってやったら喜ぶかな。コレあったら使えるかな。
考えるのは自分が食いたい物よりもアイツらの喜ぶ顔だった。
一通り見て回りマーキングをし終わった俺は拠点に戻った。
静かな森の中には不釣り合いな程デカい庭付きの家が建っていた。
俺が言わんとした事を正確に汲んだようだ。
「おかえり、ヴィータ。お疲れ様」
・・・おかえり?って、俺に言ったんだよな。
お疲れ様って、別に疲れちゃいねぇが・・・。
こんな時、なんて言えばいいんだったか・・・えーっと
「お、おぅ。ただ、いま・・・。なんか、スゲーの造ったな」
不自然じゃなかったか。家の話にすり替えて誤魔化せただろうか。
どこかに「帰る」それを「迎え入れられる」
どっちも初めてだったから、戸惑った。
人間は、家族は、こういうのを当たり前にやってるんだな。
人間を羨ましいなんて思ったのは初めてだ。
あぁ、クソ。今まで知らなかった事をたくさん知ってしまった。
どんどん後戻りができなくなってる。
このまま何も起きなきゃいい。
もし何か起きてそれを解決したら
カオリはきっと力を手放していなくなっちまう。
俺もヴェールも、もうカオリのいない世界は考えられなかった。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
今回で6章は終了です。次回から新章に入ります。
まったりスローライフもここまでです( ̄ー ̄)
次回更新は6日、木曜日を予定しております。
よろしくお願い致しますm(_ _)m




