お引っ越し
美味しそうにココアを飲んでいる子ども達を見て、ふと気になった。
「ねぇ、亜人とか獣人形態の従魔は人間と同じ扱いでいいの?それとも元の動物として考えた方がいいの?」
「?基本的には見た目の通りで大丈夫だと思うけど?」
ヴェールには私の言わんとする事がいまいち伝わらなかったらしいので
前世基準でイヌ科に食べさせちゃいけない物の話をすると
さもおかしいとばかりに笑いだした。
「心配しすぎよ。前にも言ったでしょ?従魔になった動物達は弱点らしい弱点はなくなるのよ。いくら子どもだからって食べ物1つでどうにかなるって事はないから大丈夫よ」
「そっか、良かった。具合悪くなっちゃったら大変だからさ」
小さい子どもは本当によく熱を出す。
もちろん個人差はあるだろうが、まだ未熟な身体は大人と比べればはるかに弱い。
ましてや獣人の子どもなど、私にとって未知の生態。
そのせいか少し神経質になりすぎていたようだ。
そういえば4−3−2の2人も狸と狐でイヌ科コンビだけど
イカ食べに行くって言ってたな・・・。
謎が1つ解けたところで店を出る。
本当ならもっと子ども達を遊ばせてあげたいところだが
今の状況ではちと厳しい。
なぜなら私の見た目が怪しすぎるのだ。
深く被ったフードに黒い仮面。
そんな風貌のヤツが子どもを連れていれば真っ先に誘拐を疑われるだろう。
しかもこの世界では神聖とされている獣人の子どもだ。
もしかしなくても珍しいだろう。
ヴィータが良さげな場所を見つけてくれるまでの辛抱だ。
宿に戻り一休みすれば、子ども達は船を漕ぎ始める。お昼寝だね。
翌日の夕方には、買い揃えた生活必需品が宿に届けられた。
そんなこんなで3日後、待ちわびた声が聞こえてきた。
『おーい、聞こえるか?イイ感じの場所が見つかったぞ』
「おぉ!待ってたよ、ありがとう!どうする?一旦こっちに戻って来る?」
『いや、俺はこのまま首都へ向かう。食料調達しなきゃならねぇなら、早く首都へ行けるようにしといた方がいいだろ?』
「それは嬉しいけど、大丈夫?疲れるってのはないと思うけど、一休みしたら?」
『あぁ、心配すんな。首都に行ったらうまい店物色しとくからよ!んじゃな』
それが狙いか!妙にフッ軽だと思ったら…。
ヴィータは見つけた場所にマーキングをして
ある程度整地もしといてくれたらしい。
なんとデキる男か!
「フフッ、ヴィータが珍しくはしゃいでるわね」
「え?ヴィータのアレははしゃいでるの?」
「そうよ。普段自分から動いたりあんな風に飛び回ったりしないもの」
「へぇ…なんでだろうねぇ?父性にでも目覚めたのかな?」
「きっと嬉しいんだと思うわ。・・・家族になったみたいで」
「なるほどー・・・ヴェールは?嬉しい?」
「えぇ、そうね。正直初めて感じる気持ちだから、『嬉しい』が適した言葉かは分からないんだけど」
改めて、神様って孤高の存在なのだなと、この2人にもちゃんと幸せになってもらいたいと、心からそう思った。
宿をチェックアウトし、買い揃えた大量の生活必需品と子ども達を連れて
拠点となる場所へいざ転移!
到着した先は森の中に広がる更地。
かなり広い。ヴィータさん、ちとやり過ぎじゃないですかね?
どんな豪邸を建てるつもりよ?
ヴェールが言っていたヴィータのはしゃぎっぷりが見て取れた。
これは・・・庭だ!庭にアレ作ろう、ドッグラン!
周りに結界を張っとけば、子ども達がある程度の体躯になるまで走り回らせてあげられるぞ!
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は27日火曜日を予定しております。
よろしくお願い致します。m(_ _)m




