四天王の中では最弱
本日は2話更新。こちらは2話目です。
ジャイルの脳筋説が濃厚になった。
ヴィータもヴィータで
「俺達とやり合いたいなら、まずはカオリに勝ってからだ。こいつは俺達の中で1番弱いからな」
とか言ってる。
わぁ。まさかこんな所で「あいつは俺達四天王の中では最弱」的なセリフを聞くことになるとは思わなかった。でも嘘ではないので肯定しておく。
「うん、そうだね。私とこの2人じゃ年季が違うのよ。彼等は私と違って対人戦闘も慣れてるしね。と、いうわけで、ここはひとつお手柔らかにお願いしますよ、ジャイル君」
「ハ、ハイ!こちらこそ!」
よくもまぁこんなに都合のいい場所があったものだと思ってしまう程お誂え向きな空き地にて、私とジャイルは向かい合って立つ。
審判はジンがやってくれるらしい。
「構え!」
ジンのよく通る声が響き、ジャイルが構えた。
・・・え、構え?構えって何?森の中で魔獣と戦ってた時は向かってきた奴をそのまま返り討ちにしたり、自分から向かって行って勢いのままぶった斬ったりしていたので、まともに構えたことなんてなかった。
特に今回は街中だし、ジャイルが格闘家という事もあり、武器は使わず素手のみの戦闘なのだ。
だから余計に、構えと言われても・・・どうしよう?とりあえずクラウチングスタートの構えでも取っておくか?
いやいや、いくらなんでもそれじゃナメてると思われるよな。うーん・・・
なんてバカなことをつらつら考えてるうちに
「始め!」
無情にも声がかかってしまった。
・・・私まだ構えてなかったよね?
「ハッ!」
短く息を吐きジャイルが向かってきた。
早い。あっという間に距離を詰められ上段への飛び蹴り。
うわっ!体躯は小さめなのに蹴りはなかなかに重い。
腕でガードすると着地した彼からすかさず拳が飛んでくる。
いなす。躱す。動きは素早いし手数も多いけど、捌けない程ではない。
しかし私は悩んでいた。
これ、どうやって反撃したらいいの?
ジャイルは真剣に向かってきてるから
本気で私を殴ろうとしてるし蹴ろうとしてる。
反撃する隙がないわけじゃない。いなして躱して避けまくってれば、カウンターを叩き込むタイミングはまぁまぁある。
でもやっぱりできない。こんな幼気な少年を殴る蹴るなんて!
それに加減が分からない。魔獣相手の時は加減なんかしなくてよかったから思いっきりやってたけど、以前1度蹴りが空振りし、当たった先のそこそこ太めの木がへし折れたことがあった。
あれをを人にぶちかますわけにはいかない。怪我どころじゃ済まなくなる。
スタミナ切れを狙おうかとも思ったけど、それじゃあまりに不誠実。
手加減しながら人を殴る。
そんな経験今まであったか!?前世の記憶を必死に呼び起こし、どうにか1つ見つけた記憶があった。
あれはまだ夫と交際中だった頃、ちょっとした口論から喧嘩に発展し、頭にきてつい手が出てしまったあの時のビンタ!これだ!
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は26日、水曜日2話を予定しております。




