避難が困難
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森の調査の話が終わり、次は国民の避難についての報告。
「ある程度覚悟はしてましたが、やはり時間がかかっています」
「優先的に北と東の民を避難させていますが、特に東の民の移動には時間がかかります」
北東の森からほど近い、北の都市バスドムと
東の都市ガーナドウ、そして森に近い首都の一部。
その3つの都市の避難を急いでいた。
バスドムに隣接しているのは東西が森
北は平原で国外へ、南は首都という造りなので
東側の森にさえ近付かなければ陸路の移動に難はない。
しかし、ガーナドウの方には問題があった。
ガーナドウに隣接しているのは南北が森
西が首都、そして東側にはとても険しい山脈があるのだ。
時間もない中、大荷物を抱えここを越えるのは
容易ではない。
そして北側の森には行けないとなると
残された道は首都へ向かうか、南側の森を通り
南の都市スプリトーナへ行くしかない。
当然ながら、人の流れがこの2ケ所に集中すれば
混乱が生じる。
馬、馬車、そして魔術師による転移魔法と
移動手段がどうにかなったとしても
避難先での生活が保証されるわけではない。
強い不安を抱え、不安定な状況下での時間が長引けば
暴動が起こる可能性だって否定はできない。
楽観できる状態ではなかった。
「首都の中心から南、及びスプリトーナの許容人数を超えてしまうのも時間の問題です」
「こっちはこっちで頭が痛いな。ウィムニスからは既に返答をもらっていて、できる限りの協力はしてくれるそうだが、そもそもウィムニスまでの道のりが、東部からでは遠すぎる」
「転移魔法の使い手も、避難民の総数に対して見れば決して十分とは言えませんし、実力にもバラつきがありますからね」
陛下とアーサーが憂いていると
珍しくヴェールとヴィータが自ら動いた。
「海を埋め立てるか?」
「漁師街をもっと沖の方へ移動させれば、多少住人が増えても大丈夫よね」
…神様がなんかすごいこと言ってる。
南部の都市スプリトーナは海と隣接しているため
堤防には数多くの漁船が停泊しており
浜の付近一帯には漁師小屋が立ち並び
漁師達の居住区も沿岸沿いにあることから
海沿い一帯の地域は「漁師街」と呼ばれていた。
神様曰く、海をもっと沖の方まで埋め立ててしまい
その先端に漁師街を移動させてしまえば
仮設住宅を建てるくらいの面積は確保できるだろう
とのことだった。
「カオリ、あの子達に転移魔法の練習させた時、スプリトーナにもマーキングしたわよね?」
「うん、したけど…本気?」
「つべこべ言ってる時間はねぇだろ?」
「とにかく向こうへ行って状況を説明してから、漁師街の人間達を離れさせといてくれる?」
「準備できたら呼んでくれ」
「わ、分かりました!」
コリンとケイトは向かう準備を始めた。
漁師さん達の説得がうまくいくといいんだけど…。
しかしうちの神様達も大概だな。
まさか、海を割るんじゃなくて埋めるとは…。
逆モーゼだね。
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次回更新は16日、月曜日を予定しております。
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