信じられないタイミング -sideアーサー-
いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!
「よしよし、よく言えたわね。よく頑張ったわ。偉いぞー」
「う…ぐすっ…ありがと…」
呆然と立ち尽くす俺を他所に
ぐすぐすとべそをかくケイトを
よしよしと慰めるシンシア。
何もかもが初めて見る光景についていけなかった。
彼女達が幼い頃からの付き合いなのは知っていた。
ケイトは俺と同い年だが、シンシアは俺達の2つ上だ。
ケイトと初めて会ったのは
シンシアと俺の婚約披露パーティーの時だった。
その後も何度か会い、その度にあまり話すこともなかったが
アカデミーで再会した時にはもうすでに
今のしっかり者で冷静な、凛とした麗人になっていた。
だからこんな風に感情を爆発させ、取り乱した様子は
見たことがなかった。
「ケイトはね、初めて会った時からアーサーのことが好きだったのよ。でも私の婚約者だってことが分かってたから、必死に自分の気持ちを押し殺して、蓋をしてたのよ。アーサーのことが好きだったけど、私のことも好きでいてくれたから、私達の幸せを壊すまいと、ずっと耐えてくれていたのね」
「うぅ…うわぁ~ん!シンシア〜、ごめんね~!」
「なんで謝るのよ。むしろ私は、ありがたいと思っていたわよ。私がこうなって、アーサーの側にいられなくなってしまった以上、アーサーを好きでいてくれるのがケイトで本当に良かったと思ってるの。ケイトになら、安心して後を任せられるもの」
「ちょちょちょ、後ってなんだよ!?話を勝手に進めn」
「おだまり!」
「ひゃい!」
話の展開について行けず、思わず口を挟もうとするも
シンシアに一喝されて変な声が出た…我ながら情けない。
「ケイトはね、どこを探しても他にこんな良い子はいないってくらい良い子なの!アンタが自暴自棄になって現実逃避した挙げ句、方々に迷惑をかけまくってた時、誰が後始末してくれたと思ってんの!?ケイトは私のかわいい妹も同然の存在なの!そんなかわいい妹を、これ以上苦しめられてたまるもんですか!迷惑をかけて辛い思いをさせた分、アンタが!責任を持って!絶対に!幸せにしなさいっ!!」
「う…あう…」
シンシアのあまりの迫力とド正論にぐうの音も出なかった。
確かに今思い返しても、シンシアを失った直後の俺は
自分で言うのもナンだが、それはもう荒れに荒れていた。
あの当時は周囲を見る余裕などなく
ただ、魔術師団長としての職務を全うすることのみを考え
私生活などあってないようなものだった。
現実を受け入れられず、酒と女に逃げ
トラブルを起こしたことも数知れなかった。
そのトラブルの尻拭いをケイトがしてくれていたおかげで
素行に問題があっても団長を降ろされずに済んでいた
という事実を知ったのは、実は割と最近の話だった。
逆に言えば、割と最近まで身近な人の行動すら
気に掛ける余裕などなかったということではあるが…。
「うぅ…ケイト…今までゴメン。あの…シンシアが言ったことはすぐには実行できないけど、もう迷惑をかけるようなことはしないから…約束する」
「ぐすっ…はいっ」
「よっ…と。ん?・・・えーっと、これは?どういう状況だ?シンシア?久しいな。元気…なわけないな。スマン、変なことを聞いた。ケイトは何があったか知らんが、良かったらコレ使ってくれ」
まさかのダレル。ここでまさかのダレル登場だ。
スマートにハンカチを取り出し、ケイトに渡す辺り
さすがは公爵家次男にして我が国の騎士団長。
よりによって、俺がシンシアに怒られているという
一番見られたくないタイミングでの登場。
「タツに『もう一押し』と言われて来たんだが…」
タツ殿の差し金!?
え、待って。
ってことは、タツ殿は一部始終全部見てたってこと!?
何その羞恥プレイ!?何コレ!?何の罰ゲーム!?
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次回更新は15日、木曜日を予定しております。
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