確かあの子は… -sideヴェール-
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「なぁ、ヴェール。前の契約者の従魔って、猫だったか?」
「え?何よ、突然。うーん、そうねぇ…正直よく覚えてないわ。でも…言われてみれば違ったような…」
ウィムニスからの帰りの馬車で
ヴィータが突然言い出した。
いきなりそんなこと言われても
覚えてるわけないじゃない。
申し訳ないとは思うけど、アカリとカオリ以外は
特別なことって無かったから
これといって印象にも残ってないのよね。
顔も名前もボンヤリとしか覚えてないの。
「それがどうかした?」
「いや…ちょっと気になってな」
ヴィータはそう言ったきり、黙り込んでしまった。
うーん、どうだったかしら?
前回のことなんだから、覚えてても良さそうなものよね。
長い歴史と数多の契約者、そしてその従魔達。
もう、頭の中がゴチャゴチャになってきたわ。
一旦考えるのを止めて、カオリ達の様子を伺った。
『次はどこにしようか?』
『東側に2ヶ所、北側に2ヶ所、西側に1ヶ所っていう配分よね?』
『そう。今いるのが西の森の北寄りの所。ミロットと王都を結ぶ街道沿いだね。設置済みの2ヶ所が東の森で、南部寄りの所と東部の北側。スタート地点が南東だったから、このまま反時計回りに進めて、次は北側にしようか』
『そうですね。マーキングした場所を考えると、その流れが自然だと思います』
どうやら、作戦会議中のようだわ。
邪魔をしちゃいけないから、声はかけない。
意識を向けて会話を聞くだけ。
実は、ウィムニスにいた時もこっそり様子を伺っていたの。
魔法の練習の進捗具合も気になってたからね。
初めて訪れる街を歩きながら
私達が喜びそうだからという理由で
そこかしこにマーキングをしているカオリの様子を知って
私達のことを本当に大切に思ってくれているのだと
改めて実感したわ。
こっちの世界には、過去契約者と共に何度も来てるけど
今まで街を歩いて見て回るなんて、余裕も発想もなかった。
だから、今回は日々発見の連続よ。
そういえば、幼体の動物を従魔にして育てたってパターン
今までにあったかしら?
群れを殺されて、取り残された狼の子ども達。
迂闊にもカオリが呟いてしまった一言で
従魔になってしまったけど、あの兄弟のおかげで
家族っていうのがどういうものか分かった気がするのよね。
今までの従魔は、手負いの獣を治療したり
餌付けして懐いたやつをそのまま従魔にしていたけど
力で屈服させたり、幼体を保護する形で従魔にする
というのは、今までに見たことがないパターンね。
そんなことを取り留めもなく考えていると
私も唐突に思い出した。
「鳥・・・鳥よ!」
「あ?そりゃ森ん中移動してりゃぁ、鳥の1羽や2羽普通にいるだろうよ」
「んもぅ!違うわよ!さっき言ってた前の契約者の従魔、確かあの子は、猫じゃなくて鳥だったわ」
「あぁ、そうか。…じゃあ、アイツは一体・・・」
イヤな沈黙が流れる中、馬車の車輪の音だけが
やけに大きくゴトゴトと響いていた。
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