隠ぺい魔法
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「隠ぺいの魔法?」
「あ、私が勝手にそう呼んでるだけなんだけどね。かけられている魔法を隠すための魔法。タツにもこの魔法がかけられていたの。洗脳の上からね」
私はタツを発見した時の状況を説明した。
「自分で言うのもナンだけど、多分私達じゃなかったら洗脳されてることに気付かなかったんじゃないかな。まず、隠ぺい魔法を瞬時に見破れないと思うんだよね。すごく緻密で複雑な術式だから」
「それじゃ、この家に施してあったのも?」
「そう。幻術の上から隠ぺいを重ねてかけておいたの」
「全く分かりませんでしたね」
「えぇ、見るのも聞くのも初めてだわ」
「僕達も知りませんでしたね」
今日来ている4人は、恐らく魔術師団の中でも結構上位に入る実力者のはずだ。
ファイと獣人の2人は言わずもがな、もう1人の彼だって転移魔法を使えるのだ。
以前、転移魔法はかなりの経験と魔力量を持っている実力者でなければ
使えないのだとヴェールとヴィータが教えてくれた。
そんな実力者4人が知らなかったという隠ぺいの魔法。
禁術になっているようではなさそうだが、タツの例を見る限り
用途を考えればあまりに危険な代物だ。
「魔術師の4人をもってしても見破れぬ魔法が、俺達騎士に分かるはずがない」
「そこ。それも1つポイントだと思うんだよね」
「…と、言うと?」
「コレ見て」
「?テディベア?これがどうしたと言うんだ?」
「可愛らしいクマさんですねぇ」
「「「「・・・あ」」」」
お、魔術師組、何かに気付いたね。
私が取り出したのはテディベア・・・に見えるティーポット。
幻術と隠ぺいをティーポットに重ねがけし
テディベアに見えるようにしたものだ。
気付いたのはいいが、その違和感をなんと形容したらいいか
掴みあぐねている様子。
4人とも、なんかモニョモニョしていた。
「なん…て言うのかしら、この違和感」
「えぇ…何とも表現し難いですね」
「まぁまぁ、とりあえず気付いたってことが重要なんだよ」
モニョモニョしている彼等を宥めて、魔法を解除した。
で、何が言いたかったかというと
「鬼が現れた時、前線で戦うのは騎士団でしょ?騎士団の中にも魔術師程じゃないにしても、魔法が得意な者はいるはず。隠ぺいをしていなかったら、洗脳を見抜ける者がいてもおかしくはなかったと思う。こんな風に高位の魔術師なら、冷静な状態で対象に近付いて、少し時間をかければ違和感に気付ける。でも実際戦闘になれば、そこまで冷静ではいられないし、時間もかけてられない。何より魔術師は前線に出ない。対鬼戦なら尚更ね」
そしてこの隠ぺい魔法、私の推測でしかないが割と最近開発されたのではないか。
根拠は2つ。
まずは今聞いた通り、古参の獣人2人が知らなかったということ。
そしてもう1つは、タツにかけられていた魔法を解除した後に
ヴェールとヴィータが首を捻ったのだ。
「こんな魔法あったっけ?」と。
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