第99話 風邪引きあーちゃん
ある日の授業中。
机に座って、黒板を見ながら、授業に集中していたら。
「(ブルッ)」
急に、悪寒がした。
あれ、風邪を引き掛けているのかなあ?
確かに今日は、朝から何だか体がダルかったしなあ。
取りあえず、授業が終わったら保健室に行くとするか。
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休み時間になったので、保健室に向かう。
頭がボーとして、歩いていると、頭がクラクラしてくる。
これは、本格的に引いたかな?
フラフラとしながら、廊下を歩いていると。
「あれ、あーちゃんどうしたの?(なんかへんだよ)」
背後から、のどか先輩の声が聞こえた。
「あ、先輩、どうも風邪を引いたみたいなので、保健室に行く所です」
「あ、そうなんだ、気をつけてね(おだいじに)」
そう言って先輩を別れて、保健室に向かった。
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保健室に着いて、熱を測ると、39度近くあった。
道理で、フラフラするはずだ。
取りあえず、薬を飲んで、しばらくベッドで横になってから、落ち着いた所で家に帰る事にした。
上着を脱いで、ベッドで横になっていたが。
意識がボーとはするけど、眠気もそれほど無いので、横になってボンヤリとしている。
もう、昼休み時間だけど、食欲も余り無い。
眠気も無く、何もする事が無いので、天井を見ながら横になっていると。
「ガラッ」
イキナリ、保健室の扉が開く音が聞こえる。
それから、誰かが入って来て、ベッドの脇のカーテンを開いた。
「あーちゃん、具合はどお?(だいじょうぶ?)」
カーテンが開いた方を見ると、そこには、のどか先輩が立っていた。
「はい、何だかフラフラしてたから、熱を測ったら、39度近くありましたので薬を飲みました。
しばらく横になって、落ち着いたら家に帰りますよ」
「お昼は、食べたの?(おなかすいてない?)」
「食欲が無いので食べていません。
先輩は食べたのですか?」
「うん、お弁当を食べてから、ここに来たの(まんぷくだよ)」
そう言って、先輩がベッドの脇の丸椅子に座る。
それから、先輩が僕の額に、手を当てると。
「やっぱり、熱があるね、寒気はどお?(さむい?)」
「はい、何だか、変な寒気がします」
先輩がそう言ったので、僕はそう答えた。
すると、僕のその言葉を聞いて、先輩が怪しい笑みを浮かべながら。
「じゃあ、あーちゃん、私が温めてあげるね(ニヤッ)」
と先輩が言うと、僕が被っていた毛布をめくり。
それから、先輩がその中に入り込んだ。
そうして中に入ると、僕の右脇に体を入れて、僕の肩に頭を置いた。
要するに、僕に腕枕をしてきたのだ。
「これで、寒く無くなったでしょ(ぽかぽかだ)」
「先輩、風邪が移りますよ・・・」
「大丈夫、大丈夫(の〜ぷろぶれむ)」
そう言いながら、先輩が腕枕をしている僕の肩に、頬ずりをする。
そんな先輩に呆れながらも、僕の肩に乗せている頭を、撫でてやると。
今度は、先輩が僕に抱きつきながら、頭を僕の胸に移動して。
「あーちゃん、気持ちいいよぉ(ゴロゴロ)」
うっとりした声を出しながら、僕の胸に頬ずりをしてきた。
その様子は、まるで飼い主に甘える猫の様である。
そんな先輩を、休み時間中、猫をあやす様に撫で続けた。
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その後、僕は休み時間が終わって、少しして帰った。
しかし翌日、僕が思った通り、先輩が風邪を引いて寝込んでしまったと、後で聞いたのだった。




