第97話 がーるずとーく2
ある日の放課後。
今日は、カウンターには、静と麗子が座っていた。
「うーん、静、やっぱり、ここはナカナカ暖かくはならないねえ」
「まあ、そうだよねえ、麗子、広いから暖房も、部屋全体までは利か無いんだよね」
と二人で、たわいも無い話をしていたが。
並んで座っている内に、二人の目がいつのまにか秋人の姿を探していた。
今日、秋人は、家の用事があるので、すでに帰っていたのである。
「はあ〜」
秋人がいないのを確認すると、静は溜め息を漏らした。
「ん〜、静、どうしたの? 溜め息なんか付いて」
「いやねえ、あーちゃんがいないなって思って」
「そうだよね、いないと何だか寂しいねえ、特に静が」
「〜〜〜!」
麗子に言われて、顔を赤くして俯く、静。
「でも、確かに、いつもいるのが、当たり前になってたもんね」
そう言いながら、手を組んで腕を上に向けて、麗子が伸びをする、
「そう言えば、確か前に、静、あーちゃんの事を、可愛いけど、イザと言う時は頼りになるって言ってたよね」
「うん、そうだよ」
麗子が急に、そんな事を言い出した。
「それで、この間、有佐先輩が、”女の子にとって理想の弟とは、大きくて、可愛くて、素直で、優しいけど、イザと言う時には頼りになる。
例えるなら、大型犬みたいな弟”って言ってたけど」
「確かに、そんな好みの人もいるね、麗子」
「”あーちゃんがそれに当てはまるって”とも言ってたね。
確かにそうだね、可愛いし、優しいし、でもイザと言う時は頼りになるし」
「うん、思わずモフモフしたくなるよね」
「それに、静、抱き心地も良いし」
麗子がそう言うと、二人はそれぞれ、秋人に抱き締められた時の事を、思わず思い出した。
秋人の見かけに寄らず締まった体と、その体から感じる心地良さと安心感とを。
そうして、二人は向かい合いながら、顔を赤くして俯く。
特に麗子は、自分でそう言って置きながら、顔を赤くした。
「うん? 何、二人で向かい合って、顔を赤くしているのよ?」
二人は、”ビクリ”と反応すると、すぐ側に恵とのどかが、立っていたのが見えた。
「いえ! 何でもありません!」
「そ、そうですよ!」
そう言って、静と麗子が狼狽えた。
それを見た恵は、首を傾げる。
「ひょっとして、あーちゃんの事かなあ?(どお〜)」
隣で、それを見ていた、のどかが”ニヤリ”と笑いながらそう言うと、二人は。
「そ、そんな事は無いよ!」
「ち、違うからね!」
明らかに動揺していた。
「ふふ〜ん、カマを掛けたら引っかかったねえ。(やっぱり)
で、何で、そんなに二人で赤くなっていたのよ?(なんでかなあ)」
「はは〜ん、ナルホド、で、何でなの?」
恵とのどかは、静と麗子に詰め寄る。
「そんなに、赤くなる事を、あーちゃんとしたのかなあ?
さあ、言ってごらんなさい」
「し、知りませんよ!」
静を問い詰める、恵。
「ねえ、あーちゃんと、そんなに良い事をしたのぉ?(にやり)」
「そんな、想像している事なんかしてないわよ!」
怪しい笑みを浮かべながら、麗子に尋ねる、のどか。
そうやって、二人に対する尋問は下校時間になる一杯まで、続いたのである(笑)




