第95話 夢の中で2
・・・・・・
「・・・ちゃん」
「・・・あーちゃん」
んっ・・・。
あれ、誰だろう? 僕を呼ぶのは。
目を開けて体を起こすと、目の前には静先輩がいた。
自分の周りを見ると、僕は何故か、とてつも無く大きなベッドの上にいて。
先輩はと言うと、僕の傍らにいて、白のヒラヒラしたドレスを着ており。
顔には、いつも見慣れた眼鏡が無い。
「あーちゃん、起きた?」
先輩がそう言うと、ニッコリと笑う。
その先輩の様子は、いつも以上に、可憐な雰囲気を漂わせてる。
「あれ、ここはドコですか?」
「それはね、ひ・み・つ・だ・よ」
そう言いながら、先輩が”クスクス”と笑う。
それから、僕ににじり寄り、僕の胸に手を当てながらしなだれて来る。
僕にしなだれながら、先輩が甘えた声で。
「ねえ、あーちゃん、お願いだから、抱いてちょうだ〜い」
と、おねたりして来た。
僕は、そんな先輩が可愛く思えて、思わず、先輩を抱き締めながら、後ろに倒れた。
「キャッ!」
先輩が僕の腕の中で、可愛らしい悲鳴を上げた。
仰向けになった僕の上で、先輩が僕に抱き締められている。
僕の胸の上に頭を乗せている、先輩の頭を梳りながら撫でる。
僕の胸の上で、先輩が目を細めたのが見えた。
そんな先輩を見て、僕は頬が緩んでゆくのを感じていった。
・・・・・・
・・・・・・
「・・・ちゃん」
「・・・あーちゃん」
んっ・・・。
その声に、気付き目を開けると。
「あ、あーちゃん、起きたの・・・」
と言う、先輩の声が聞こえた。
見ると、先輩が寝ている僕に抱き締められている。
自分の周りを見ると、僕は、自分の胸の上に頭を乗せている、先輩の頭を梳りながら撫でている所だった。
そんな自分の状況に気付くと。
「先輩、一体、僕な何をしてたんですか?」
と、恐る恐る聞いてみる。
「・・・あのね、私が、あーちゃんを起こそうとしたら。
イキナリ、あーちゃんが起き出すと、急に私を抱き締めて、そのまま後ろに倒れたのよ」
先輩が、消え入りそうな声で、そう答えた。
「すいません、今、放しますから」
「ダメっ・・・」
僕がそう言うと、先輩が拒否した。
「お願い、このまま撫でて・・・」
先輩が、夢の中の様に、甘えた声でおねだりしてきた。
先輩の要望に答える様に、抱き締める力を強めると、そのまま先輩の頭を梳る様に撫でた。
「はあっ、気持ちいいよお・・・」
うっとりする様な声で、溜め息を漏らしながら、そう言う先輩。
僕は、先輩の要望のままに、僕の上で先輩を抱き締めながら、頭を撫でていた。




