第92話 天然天使とお勉強4
ある日の昼休み時間。
今日は有佐先輩と一緒に、カウンターで待機している。
もうすぐ試験なので、カウンターで古文の勉強をしていたら、先輩が古文が得意らしいので、教えてもらう事になった。
「よし、よ〜出来たね♪」
一通り終わると、そう言いながら先輩が満足した様子を見せる。
「あーちゃんは、物分かりが良かけん、助かるばい」
まるで子供を褒める様に、頭を撫でて、先輩がそう言った。
子供扱いされた事に、少しだけ”ムッ”としたが、それを抑え込んで、先輩のされるがままになった。
「あーちゃん、ごめんねえ、子供扱いばしてぇ〜」
先輩がニコニコしながら、そう言った。
「見たら、あーちゃんが、我慢しとっとが分かるとばい」
「あーちゃんは優しかけん、そぎゃんか事は言わんけんね」
(あーちゃんは優しいから、そんな事は言わないからね)
と続きて、先輩が言った。
「あーちゃん、知っとるね、女の子にとって、理想の弟とか」
「いいえ?」
「体は大きかとばってん、可愛くて、素直で、自分の言う事ば聞いて、モフモフして抱き心地が良かと。
でも、イザと言う時は頼りになるとばい」
(体は大きいけど、可愛くて、素直で、自分の言う事を聞いて、モフモフして抱き心地が良いの。
でも、イザと言う時は頼りになるんだよ)
「例えるなら、グレートピレニーズとか、ゴールデンレトリバーとかの大型犬みたいな、弟たい」
「あーちゃんが、そぎゃんか弟やけんね」
(あーちゃんが、そう言う弟だからね)
そう言いながら、キャスターを転がして、僕に近づく先輩。
僕に近づくと、イキナリ僕に抱き付き、僕の肩に頬を乗せて、頬ずりをする。
「あー、抱き心地が良かねえ〜」
頬ずりをしながら、満足気な表情を見せる先輩。
しかし、僕は犬かよ〜!
「ん、あーちゃん、手が冷えとるばい」
偶然、僕の手が頬に当たった先輩が言った。
「じゃあ、私が温めるけんね」
「あっ!」
そう言うと、先輩が僕から離れると、僕の手を取って、自分の制服の裾から中に入れた。
それから、自分のお腹に僕の手を押し付ける。
「この間のお返しばい♪
この間の時は、温めてくれたとはうれしかとばってん。
でも温めた所が恥ずかしかとばい」
(この間のお返しだよ♪
この間の時は、温めてくれたのはうれしかったんだけど。
でも温めた所が恥ずかしかったよ)
そう言って、先輩が悪戯な笑顔を見せた。
先輩は多分、この間の僕が制服の中に入れて温めた事を、言っているのだろう。(第83話参照)
先輩のお腹の柔らかさと、暖かさを感じると、僕の頬が熱くなってゆく。
「うふふん、どお、恥ずかろうが〜」
僕の頬が赤くなったのを見ると、裾から僕の手を取りだし。
それから、僕の手を自分の頬に当てた。
「ねえ、あーちゃん、あなたはね、弟であると同時に、男の子やけんね。
男の子から、そぎゃんか事ばされると恥ずかしかとばい」
(ねえ、あーちゃん、あなたはね、弟であると同時に、男の子だからね。
男の子から、そんな事をされると恥ずかしいんだよ)
僕の手を頬に当てながら見詰めつつ、僕にそう言う先輩。
「はい、気を付けます」
と、僕は言った。
そして、僕の言葉を聞くと、満足そうに微笑んで、先輩が僕の手に頬ずりをする
それから、先輩が自分の頬に当てたまま、僕の手を温め続けていた。
有佐先輩の忠告にも関わらず、その後も、女の子達をドキドキされる主人公であった(笑)




