第87話 お姉ちゃんの夢見
今回の話は、第37話と内容がシンクロしている部分があります。
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「先輩、先輩、有佐先輩・・・」
ん、誰かが呼んでる?
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、有佐お姉ちゃん・・・」
あ、あーちゃんか。
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「トントントン」
朝ご飯の準備をしていて、ふと時間を見る。
もうこんな時間、早く、あの子を起こさないと。
そう思い、あの子の部屋に行く。
あの子の部屋に行き、布団で寝てる姿を見る。
いつも見ているあの顔では無く、なぜかあーちゃんが寝ている。
しかし、その事を疑問に思わず、あーちゃんを起こす。
「ほら、あーちゃん、時間ばい」
と、私が体を揺すると、あーちゃんが可愛らしい声で。
「・・・うんんんっ、ねえ、おねえちゃん、もおちょっとだけよかぁ・・・」
と言って、私に甘えて来る。
だけど私は、それでも起きない、あーちゃんをくすぐる。
「あ〜〜、おねえちゃん、くすぐったかあ〜」
キャッ、キャッと言いながら、あーちゃんが体をクネらせる。
私は、そうやって起きるまで、あーちゃんをくすぐってやった。
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買い物に、あーちゃんを連れて行っていると。
あーちゃんが、上目遣いで私を見ている。
「どぎゃんしたと、あーちゃん?」
そんなあーちゃんに、私は尋ねてみた。
「おねえちゃん、手え繋いでよかあ?」
あーちゃんが、可愛らしくおねだりして来た。
「はい、あーちゃん、手を繋ごうかねえ」
あーちゃんの可愛らしい様子を見て、私は頬を緩ませながらそう言った。
そうして、あーちゃんの小さな手を握ると、あーちゃんが、私にまぶしい笑顔を私を見せてくれた。
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夜、ベッドで寝ようとしたら、ドアがノックされた。
「入って、よかよぉ〜」
私がそう言うと、ドアを開いて、あーちゃんが枕を持って立っていた。
「おねえちゃん、いっしょにねてもよか?」
そんなあーちゃんに、笑顔を見せながら。
「よかよ、あーちゃん、ほら、こんね」
私は布団をめくって、体をずらしてから、あーちゃんを呼ぶ。
あーちゃんが、小さな体を布団の中に入れると、その体を抱き締めてやる。
そうすると、あーちゃんも私を抱き返した。
あーちゃんの頭を、抱き締めながら撫でてやると、あーちゃんが夢見る様な声で言った。
「ありさおねえちゃん、だいすきやけんね・・・」
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・・・ん、いつの間にか寝ていたんだなあ。
段々と、意識が浮上ゆくにつれ、自分の状況が理解して行く。
気が付くと、私は胸に何かを抱き締めていた。
それは、大きいボールの様な物で、その物を良く見てみると。
そのボールの様な物は、あーちゃんの頭だった。
私は、あーちゃんの頭を抱き締めながら、頭を撫でていたのだ。
「・・・先輩、気が付きましたよね」
あーちゃんがそう言うと、私は慌てて、あーちゃんの頭を放した。
あーちゃんは、膝を床に付いた状態から、体を起こすと。
「先輩、居眠りしていて、普通にやってナカナカ起きないから、”お姉ちゃん”て言ったら、急に僕を抱きしめて、頭を撫で出したから・・・」
赤い顔をして、そう言った。
「ゴメンねー、あーちゃんが多分そう言うけんがら、夢の中で、あーちゃんが私の弟になった夢ば見たったい」
「そうですか」
そう言うと、あーちゃんは、私の方をチラチラ見ている。
「ん、あーちゃん、また、私に可愛がられたか?」
「そ、そんな・・・」
「あーちゃんなら、よかよ、ほら」
そう言いながら、あーちゃんに向けて両手を広げると。
あーちゃんが、赤い顔を私に向けて。
「・・・はい、お願いします」
と言った。




