第86話 通り掛かりで誘惑
ある日の休憩時間。
「ペタ、ペタ、ペタ」
今、僕は教室移動の為に、廊下を歩いている所だ。
途中で別の用事があったので、他の人間とは分かれて行動している。
ここは場所的に、殆ど人通りが無い廊下である。
近道の為に、この廊下を通っていると。
突然、廊下の角から手が伸びて、僕は手を引っ張られた。
「はろ〜、あーちゃん」
その引っ張られた方向を見ると、猫の様な雰囲気の女の子がいた。
瀬田美咲先輩である。
「え、先輩、こんな所でどうしたんですか?」
「うふふ、授業をサボろうとしてたら、あーちゃんが通り掛かったから」
「・・・ダメですよ、先輩」
「ふふふっ、冗談よ、冗談」
何だか誤魔化す様な笑顔を見せながら、視線はあさっての方向を見ている。
本気でサボる気だったんだな。
「それよりも、コッチの方に来てよ」
そう言って、先輩が僕を両手を取って、引っ張り出す。
僕は、先輩に引っ張られながら、どこかへ連れて行かれた。
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「一体、何をするんですか・・・」
先輩に引っ張られた僕は、階段下の、周りからは完全に死角になる場所に、連れて行かれた。
「うん、この間の、つ・づ・き・よ」
妖しげな笑みを浮かべながら、先輩がそう言って、僕に迫って来る。
そんな先輩に後ずさりをするが、先輩が更に迫り、とうとう、壁に追い詰められた。
「そんなに、怖がらなくても良いよ」
そう言って、僕に身を寄せながら、また、僕の制服のボタンを外し出す。
「どうして、ボタンを外すんですか?」
「それは、あーちゃんの体が暖かくて、気持ち良いから」
ボタンを外し終わると、制服の中に手を入れ、カッターに包まれた僕の体に抱き付くと。
「それにコッチの方が、より弾力を感じられるよ」
そう言いながら、先輩が自分の胸を僕に密着させて、僕の体に擦り付けた。
「えっ!」
僕は、イキナリのその柔らかな感触に、ビックリした。
先輩が、そんな僕の戸惑いにも構わず、更に、自分の胸を押し付けたり、引いたりしながら左右に揺さぶる。
僕の体で、柔らかい物が”ポョンポョン”と跳ねつつも、さまざまに形を変えてゆく。
その感触に、僕は顔が熱を帯びだして来た。
「あーちゃん、顔が赤くなってる、可愛いなあ」
そんな僕を、妖しげな笑みを浮かべながら、そう言う先輩。
僕の反応を見た先輩が、抱き付いた腕に力を込めて、更に密着度を上げて来る。
「キ〜ンコ〜ン、カ〜ンコ〜ン」
そうしている内に、次の授業の鐘が鳴り出した。
げっ! 早く行かないと。
僕は脱出しようとするが、先輩が顎を肩に乗せ、脚を絡ませて妨害する。
「お願いします、先輩、行かせてえ〜!」
「ダメ、私と一緒にサボりましょ♪」
そう言って、僕を拘束する先輩。
結局、僕は先輩と一緒に、授業をサボる羽目になった(涙)。




