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第80話 次期部長

 ある日の放課後。



 この日は、読書部のメンバーが全員、準備室に集められていた。


 カウンターの方は、珍しく放課後に来てくれた有佐先輩と、麗子先輩にお願いしてもらっている。


 そして、みんなが集まった所で、恵先輩が口を開いた。



 「みんな、集まったわね。

今日、集まってもらったのは、次期部長を決める為なの」


 「もう少し、早く決めたかったけど。

私の方が、少し前まで情緒不安定だったのと、文化祭があったり。

それから、私が推薦入試の事で頭が一杯だったので、すっかり忘れていたの、ごめんなさい」



 と言って、頭を下げた恵先輩。



 「となると、2年が次の部長だから。

当然、静先輩か、のどか先輩かの、どちらかですよね」



 恵先輩の発言を受けて、僕はそう言った。



 「私、個人の意見としては、静の方が適性があると思うの。

のどかは、周りの空気を読まない事があるからね」



 溜め息を付きながら、恵先輩がそう言った。



 「えー! 恵先輩、酷いよー!(もお〜)

だけど、反論出来ないのが悔しいけど・・・(がっくし)」



 恵先輩の言葉に、文句を言うが。

渋々、それを認めてしまう、のどか先輩。



 「それじゃあ、多数決で決めましょうか。

どちらが良いか、手を上げてね、まずは静が良いと思う人」



 恵先輩がそう言って、挙手を求めたら。

静先輩以外の全員が、手を上げた。



 「え、ええ〜!」



 パニックる、静先輩。



 「ちょっと、のどか、なんで上げているのよ!」


 「え〜、だって、部長なんて面倒臭いんだもの〜(めんどくさ〜)」


 「あーちゃん、まで!」

 「いやまあ、客観的に見たら、静先輩の方が適性がありそうだし」


 「そ、そんなあ!」



 ガックリと肩と落とした、静先輩だった。



 ***************



 翌日の昼休み時間。




 「はあ〜」


 「どうしたんですか? そんなにショックだったんですか」



 準備室のテーブルに肘を付いて、溜め息を付いている、静先輩。


 それを見て、僕は先輩に尋ねてみた。



 「ショックと言うよりも、責任重大だなと思って。

だって、私の代で、読書部を潰したりは出来ないわよ」


 「これでも、この部は40年以上の歴史があるからね」



 先輩が、そう言いながら、眉間にシワを寄せている。


 見ていると先輩は、必要以上に気負っているみたいだ。


 こう言う人は、チョットした事でも、負のスパイラルに陥ってしまう。

だから、少しでも肩の力を抜く様に、させてあげないと。


 僕は、先輩の左隣に座って、それから、テーブルの上で組まれた先輩の両手の上に、自分の左手を乗せた。



 「先輩、そんなに気負わないで下さい。

のどか先輩も、僕も協力しますし。

それに、その次の年は、僕一人だから僕が部長ですよ」


 「だから、先輩の代で潰れる事は無いし。

特に、僕が勧誘に力を入れないと、僕が潰した事になりますから」



 そう言って、先輩に微笑み掛けたが、多分、引きつった笑顔だろうな。


 僕がそう言うと、先輩が(けわ)しい表情を緩めて。



 「ふふふっ、そうだね、その次の年はあーちゃんになるんだね。

あーちゃんの為にも、来年度の勧誘は頑張らないとね」



 微笑んだ表情でそう言って、僕を見た。 



 「そうだよね、いつも、あーちゃんは私の事を助けてくれるのよね」



 僕の左手を両手で握り締め、僕を優しい眼差しで見詰めながら、先輩がそう言った。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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