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第79話 天然先生の個人授業

 ある日の放課後。



 今日は、静先輩、のどか先輩、麗子先輩と僕の四人が、図書室に来ているが。

カウンターの方は、先輩方3人と言う変則的な状況になっている。


 その原因は僕が準備室で、川尻先生から現国の指導を受ける事になったからだ。


 別に、赤点はもちろん、成績が悪い訳では無いのだけど。

今日、たまたま先生が図書室に来ていて、僕の現国の話になり。

それから、なぜか僕が苦手な所を、その場で指導される事になった。


 どうして、こんな事に?


 それで、先輩3人がカウンターの方を担当する事になった訳だ。


 そう言う僕は、先生が隣に座り、先生からの指導を受けている。



 ***************



 「ふう、疲れたから休憩しましょうね」



 一息付いてから、先生がそう言った。


 先生の指導は、一時、停止しているけど。


 僕は疲れきってしまい、テーブルに突っ伏せしてしまった。



 「お〜い、秋人くん、生きている?」


 「う〜ん」



 そう言いながら、僕を突く先生。

でも僕は、それに応える元気すらも無い。



 「うふふっ」



 反応が薄い僕を見て、先生が怪しい笑みを浮かべる。


 それから、先生がおもむろに立ち上がると、僕の背後に回り、僕に抱き付いた。


 僕に抱き付くと先生は、制服の裾から手を入れて、僕の体を撫で回す。


 そのくすぐったさに、僕は体をクネらせながら起き出した。



 「せ、先生、何をするんですか」



 先生の突然の行動に、僕は抗議するが。



 「あーちゃん、まだ休憩だよ。

これからまだ続くんだから、寝るのは早いよ〜」 



 のんびりとした声で、恐ろしい事を(のたま)う先生。



 「(ひえっ〜!)」



 僕は、心の中で思わず絶叫してしまった。



 ****************



 「もう、こんな時間ね。

そろそろ、帰り支度をしないと、校門が締まるわよ、あーちゃん♪」


 「・・・」



 なぜだか、上機嫌な川尻先生。


 それと対象的に、僕は丸椅子の上で項垂(うなだ)れながら、真っ白に燃え尽きていた。



 「どうしたの、元気が無いねえ」



 また、怪しい笑みを浮かべながら、先生がそう言う。


 僕は、普段ならその様子に警戒するが、放心状態になっているので、先生の言葉に何にも反応しなかった。


 その様子を見た先生が、僕の顔を両手で包む込む様に、持ち上げると。



 「そうだ、先生があーちゃんに元気を上げるね」



 僕の頭を右手で撫でながら、そう言った。


 しばらく僕の頭を撫でると、今度は、僕の頭を胸に抱きながら撫で出した。


 しかし、それは、のどか先輩とは違い、頭を胸に押し付ける物ではなく。

優しく包み込む様に抱きながら、手を頭に滑られる様に撫でている。


 それはまるで、猫を抱きかかえながら、撫でているかの様である。


 その感触に、僕は猫の様に目を細めた。



 「・・・」



 しばらくの間、先生は僕を撫で続けていたが。

僕が気付いた頃には、正門が締まる時間を、とっくに過ぎていた。


 先輩達は、先生に言われて、すでに帰ってしまっていた後だった。


 そう言う訳で、僕は、先生の車で送ってもらう事に、なってしまったのだ。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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