第79話 天然先生の個人授業
ある日の放課後。
今日は、静先輩、のどか先輩、麗子先輩と僕の四人が、図書室に来ているが。
カウンターの方は、先輩方3人と言う変則的な状況になっている。
その原因は僕が準備室で、川尻先生から現国の指導を受ける事になったからだ。
別に、赤点はもちろん、成績が悪い訳では無いのだけど。
今日、たまたま先生が図書室に来ていて、僕の現国の話になり。
それから、なぜか僕が苦手な所を、その場で指導される事になった。
どうして、こんな事に?
それで、先輩3人がカウンターの方を担当する事になった訳だ。
そう言う僕は、先生が隣に座り、先生からの指導を受けている。
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「ふう、疲れたから休憩しましょうね」
一息付いてから、先生がそう言った。
先生の指導は、一時、停止しているけど。
僕は疲れきってしまい、テーブルに突っ伏せしてしまった。
「お〜い、秋人くん、生きている?」
「う〜ん」
そう言いながら、僕を突く先生。
でも僕は、それに応える元気すらも無い。
「うふふっ」
反応が薄い僕を見て、先生が怪しい笑みを浮かべる。
それから、先生がおもむろに立ち上がると、僕の背後に回り、僕に抱き付いた。
僕に抱き付くと先生は、制服の裾から手を入れて、僕の体を撫で回す。
そのくすぐったさに、僕は体をクネらせながら起き出した。
「せ、先生、何をするんですか」
先生の突然の行動に、僕は抗議するが。
「あーちゃん、まだ休憩だよ。
これからまだ続くんだから、寝るのは早いよ〜」
のんびりとした声で、恐ろしい事を宣う先生。
「(ひえっ〜!)」
僕は、心の中で思わず絶叫してしまった。
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「もう、こんな時間ね。
そろそろ、帰り支度をしないと、校門が締まるわよ、あーちゃん♪」
「・・・」
なぜだか、上機嫌な川尻先生。
それと対象的に、僕は丸椅子の上で項垂れながら、真っ白に燃え尽きていた。
「どうしたの、元気が無いねえ」
また、怪しい笑みを浮かべながら、先生がそう言う。
僕は、普段ならその様子に警戒するが、放心状態になっているので、先生の言葉に何にも反応しなかった。
その様子を見た先生が、僕の顔を両手で包む込む様に、持ち上げると。
「そうだ、先生があーちゃんに元気を上げるね」
僕の頭を右手で撫でながら、そう言った。
しばらく僕の頭を撫でると、今度は、僕の頭を胸に抱きながら撫で出した。
しかし、それは、のどか先輩とは違い、頭を胸に押し付ける物ではなく。
優しく包み込む様に抱きながら、手を頭に滑られる様に撫でている。
それはまるで、猫を抱きかかえながら、撫でているかの様である。
その感触に、僕は猫の様に目を細めた。
「・・・」
しばらくの間、先生は僕を撫で続けていたが。
僕が気付いた頃には、正門が締まる時間を、とっくに過ぎていた。
先輩達は、先生に言われて、すでに帰ってしまっていた後だった。
そう言う訳で、僕は、先生の車で送ってもらう事に、なってしまったのだ。




