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第76話 祭りの後

私(作者)にファッションセンスを期待しないで下さいorz


 文化祭が終了後。



 「あーちゃん、もうイジケないで」



 僕は、準備室の長椅子でコスプレのまま、項垂(うなだ)れていた。


 文化祭初日の午前。


 ”あの”、黒地に白いフリルのゴスロリドレスを、赤いリボンのままで使い。

頭に金髪ロングで、白のレースで縁取られた黒のヘッドドレスが乗ったカツラを被っての。


 ”不思議の国のアリス”


 初日の午後。


 また、”あの”白のロリータドレスのリボンを赤にして、背中に小さな羽を付け、更に黒髪ロングに赤いリボンを付けたカツラで。


 ”みにくいアヒルの子”


 二日めの午前。


 市販の紺の膝丈スカートと、女性用のブラウスにレースとフリルを付けて改造し、無理やりカントリー風にして。

(大きいサイズとは言え、女性用の服が着れる、僕は一体・・・)

赤いおさげ髪のかつらを被せ、黒のハイソックスを履かせた。


 ”赤毛のアン”


 二日目の午後。


 初日のロリータドレスにエプロンと、フード付きのマントかスモックの様な物を改造した、赤い頭巾の。


 ”赤ずきんちゃん”


 ”赤毛のアン”だけは、ハッキリ言って外したみたいだが、それ以外は概ね好評だ。


 しかし、それは、僕にとっては屈辱的だ。


 しかも朗読中には、子供達が(まと)わり付いてきて。

女の子はくっ付いて離れないし、男の子は裾をめくろうとするから、大変だった。


 だが、一番大変なのは何を血迷ったか、僕を本物の女子と勘違いして、ストーカーと化した男が出たことだ。


 終わった後、ソイツの追跡を振り切るのに、どれだけ苦労したか。


 結局、その男は、先生方に取り押さえられて、警察に突き出された。


 それで今の僕は、赤い頭巾を外して、白のロリータドレスにエプロンをしたままの状態でいた。


 頭は、頭巾を被るのに、なぜか黒髪ロングのカツラを被っていた。



 「ねえ、あーちゃん、ごめんね。

あーちゃんをイジメたくてやった訳じゃないのよ。

可愛い、あーちゃんを(みんな)に見せびらかしたかったの」



 僕の左隣に座って、僕の背中を擦る、恵先輩。



 「そうよ、あーちゃんはこんなに可愛いんだもの」



 僕の右隣に座って、僕の頬を撫でる、静先輩。



 「だからねえ、機嫌を直してよ〜(おねがい)」



 僕の正面で、僕の顔を覗き込む、のどか先輩。


 三人がそう言うが、僕は憮然(ぶぜん)とした表情で。



 「だからって、僕に隠れて、皆で(たくら)まなくてもいいじゃないですか」


 「だって、そうじゃないと、あーちゃん断るじゃないの」


 「当然ですよ、何で僕が女装しなければならないんですか〜」


 「だから可愛い、あーちゃんを見せびらかしたいからって、言っているんじゃないのお(もお)」



 と、僕が苦情を言うと、恵先輩がそう言い。

更に、僕が反論を言うと、今度は、のどか先輩がそう言った。


 さっきから、その繰り返しだ。



 「もお、いいですよ」



 僕の意志を無視したやり方に、ふてくされてしまう。



 「はあ〜、あーちゃん、いい加減、機嫌を直してよ(ねえっ)」



 そう言いながら、のどか先輩は僕の頭を掴み、それから自分の胸に押し付けた。



 「んーーー!」



 突然の行為に、僕はパニックに(おちい)るが、それにもかまわず、のどか先輩は僕の頭を更に胸に押し付ける。


 この人、ワザとやっているな。


 しかし、顔を柔らかい物に強く押し付けられているので、呼吸が出来なくなっている。



 「ねえ、あーちゃん」


 「機嫌を直してよ」



 息が苦しくなって来たので、脱出しようとするが。

恵先輩と、静先輩が左右から抱き付いて、固めてしまっている為に、脱出する事が出来ない。



 「(い、息があ〜!)」



 天国の様な地獄と言う、お約束のフレーズのまま、僕の意識は闇の中に沈んで行った。



のどか:あーちゃんは、変なスイッチが入る前に落とした(気絶させた)方が良いね。


秋人: ・・・。

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