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第75話 天然天使にいたずら2

 ある日の放課後。



 今日はカウンターに座っている。


 結局、僕以外の全員が結託していたらしく、集団の圧力で僕がコスプレをしなければならない羽目になった。


 僕が良かれと思い提案した事は、自分で自分の首を締る事になったのだ。


 なんでこうなったの(涙)。


 それから、僕は当日に自分一人がコスプレをする事と。

それ以前に、僕が裁縫が出来ないので、出し物の準備は僕以外のメンバーがやる事になった。


 従って、文化祭に関しては何もする事が無くなったので、カウンターで待機している訳だ。



 ***************



 ちなみにクラスの方は、こちらも女装メイド喫茶と言う訳が分からない物が、いつの間にか決まってしまい。

その上、僕が女装しなけらばならない流れになっていたのを、全力で断って裏方になったので、部活の方に集中できる事になった。


 だが、僕が女装を断った時、男女問わず、何人もの人間が涙を流した。


 そんなに、僕の女装姿が良いの?


 釈然(しゃくぜん)としない思いをしながら、カウンターに座っていた。



 ***************



 部活に関係ない、麗子先輩はクラスの出し物関係で来られないので、今日は僕がカウンターにいる。


 今は、静先輩以外は、手芸部の方に打合せに行っているので、静先輩が、一人で準備室にいる事になる。


 静先輩の様子を見ようと、椅子を立って、準備室の方に向かう。


 準備室のドアを開けて、中を(うかが)うと、先輩が眼鏡を脇に置いて、テーブルに突っ伏して眠っていた。


 そんな、無防備な先輩の寝姿を見ている内に、悪戯心がムクムクと湧き起こって来た。


 先輩の側に行って、それから揺すって、起きるかどうかを確認する。



 「先輩、起きてください〜」



 揺すっても、先輩が起きない事を確認すると、丸椅子を引っ張り出し、そして先輩の後ろに持っていって座る。


 それから、先輩を脚の間に入れて抱き締めた。


 先輩が起きている時は、先輩の動きや感情に気を配って抱き締めていたのだけど。

先輩が寝ているので、純粋に体の柔らかさや暖かさ、甘い匂いを堪能(たんのう)する事が出来る。


 しばらくの間、その体の感触を堪能したら、次に、その背中に流れる髪の毛が目に入る。


 その流れる髪に手を伸ばし、髪の毛の感触を楽しんだ。


 触る、撫でる、持ち上げる、指の間に髪を通して滑らせる、巻きつける、匂いを嗅ぐ、頬ずりする。


 思い付く限りの楽しみを試してみた。


 そうやって、先輩の髪を(もてあそ)んでいたら、



 「んんん」



 先輩が起き出して来た。


 それで、急いで先輩から離れようとすると。



 「あーちゃん、離れないで。

そのまま、ギュってして、それから髪を撫でて〜」



 甘える様な声で、そう言った。


 それで、僕は先輩を後ろから抱き締め直して、右手で頭を撫でる。


 頭を前から、髪を(くしけず)ると、髪が滑るごとに先輩が、小さな溜め息を付く。


 そう言えば、以前にも似た様なことがあったなあ(第29話参照)。


 先輩は髪を撫で続けると、変なスイッチが入るんだった。


 手芸部に行っていた二人が、図書室に返って来るまで、僕は先輩を撫で続けた。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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