第74話 文化祭の準備3
ある日の放課後。
今日もまた、準備室で手芸部を読書部の打合せが、行われる。
カウンターの方は、また麗子先輩にお願いしている。
今回も、準備室でテーブルの両サイドに、分かれて座っていた。
「前回で出し物が決まったので、今回は、どの物語の衣装を出すのかを決めます」
翠先輩がそう切り出した。
「文化祭は土日の2日間だから、何回、読み聞かせ会行うかよね。
それによって、作る衣装も変わるからね」
「今からだと、どんなに急いでも3着が限界かな」
恵先輩がそう言うと、翠先輩からそんな声が聞こえた。
「とりあえず、2日間だから、午前と午後の2回するとして、計4着と取りあえず決めておいて。
後は、衣装の出来具合により決めましょうか」
「そうね、出来具合によって、読み聞かせ会の回数を調整しましょう」
と、静先輩が言うと、手芸部のある女の子がそんな事を言った。
「それでは、4着作るとして、今度は何の衣装を作るかを決めましょう」
翠先輩が、そう言って先に進める。
「この間あーちゃんが言った、”不思議の国のアリス”なんかは良いんじゃないの」
「それは決定ね」
のどか先輩が言うと、翠先輩がなぜか決めてしまう。
その時、僕はまた閃いたので、手を上げると翠先輩が。
「はい、あーちゃん」
「”あかずきんちゃん”なんかはどうですか、アリスの衣装に赤の頭巾を付けるだけで良さそうですし」
「なるほどなるほど、それで誤魔化せると」
翠先輩、身も蓋もない事を言わないでください・・・。
「他に何かないのかな」
「赤毛のアンとか」
「組み合わせからすると、次は童話が良さそうだから、醜いアヒルの子とかかなあ?」
次々上がる意見を即断即決する、翠先輩。
ん、誰も異論が無いのなあ?
そんな事を考えながらも、いつも間にか出し物が決まる。
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打合せが終わり、二人だけがいる準備室。
「くくくっ、上手くいったね、恵」
「まさか、こんなに上手く行くとはね、翠」
お互いに笑い合う、部長二人。
「最初、どうやって、あーちゃんを女装させようかと思っていたら。
自分で、コスプレ読み聞かせ会とか言うんだもんね」
「そうそう、しかも自分で”不思議の国のアリス”とかネタを振ってくれるし」
翠がそう言うと、恵がそう応える。
「それが決まってから、あーちゃん以外のみんなで、ある程度ネタを決めたけど、今度は出来る着数の問題が出て来たんだよね。
それも、あーちゃんが自分でフォローしてくれたし」
「そうだね、頭巾を被せて、”あかずきんちゃん”って良いアイデアだね」
翠と恵はそんな事を言い合った。
「あ、それだと、あーちゃん用に作った、”あの”2着がチョット手を加えるだけで、そのまま流用出来るじゃない。
それに、あの2着を使って期間短縮を盾に取れば、あーちゃんに女装を拒めなくさせられるし」
「え、ホントに、ふふふっ、これでみんなに可愛いあーちゃんを披露出来るね」
二人は、まるで悪代官と越後屋の様に、密談を行っていた。




