表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/136

第69話 図書室で誘惑1

 ある日の昼休み時間。


 

 僕は一人でカウンターに座っていた。


 残りのメンバーは準備室で、入荷した新刊本の整理をしている。


 最近は、もう空調を入れる事も無く、その為、前程の人影を見る事も無くなって、また以前の様に、ガラ〜ンとした状況に戻った。


 そんな中で、備品の整理をしていると。



 「すいませ〜ん」



 と言う声が聞こえた。


 見ると、一人の女生徒がこちらを見ている。


 その姿は、ショートカットの髪型で、ややツリ目で八重歯が見える顔立ちをしており、全体的にやや細身の体格と相まって、猫科の動物の印象を与えている。


 上靴の色を見ると2年生で、上級生である。



 「ちょっと、お願いしたい事があるの。

一緒に来てくれない」


 「何が有るんですか?」


 「こちらに来たら分かるわよ」


 「?」



 そんな事を言いながら、妖しい笑みを浮かべる、猫っぽい女の子。


 彼女の言うがままに、その後を付いて行く。



 ****************



 彼女の後に付いて行くと、図書室の奥の、周りからは死角になる場所に来た。



 「それで、何があるんですか?」



 僕がそう言うと、その猫っぽい女の子が。



 「ねえ、私と良い事してくれない」


 「えっ!」



 その女の子が妖しい笑みを浮かべながら、そう言いながら僕に迫って来た。



 「始めて見た時から、食べちゃいたい位に可愛いと思ったの。

それに、あなたは、"読書部のペット”とか、”愛玩動物と書いて、かわいがるいきものと呼ぶ”とか言われてるじゃない」


 「噂によると、それ位、上級生達に色々と(・・・)可愛がられているらしいね。

だ・か・ら、私も可愛がっても良いよね。

伊倉秋人・く・ん」



 その妖しさに押されて後ずさりをするが、直ぐに背後に壁に突き当たる。



 「そんなに、警戒しなくてもいいのに、痛い事はしないよ」



 ふふふ、と笑みを浮かべる、女の子。


 すると、彼女は右手を上げ、指先を僕の胸板に当てた。


 それから、指先を円を描く様にして、僕の胸に滑らせる。


 そうされると、くすぐったさと気持ちよさが合わさった様な感覚が、体中に駆け抜けて行く。



 「秋人くん、あなたって女の子みたいに可愛い顔をしてるのに、脱いだら凄いのね。

夏のプール授業の時にあなたを見たら、細いのに引き締まった、良い体をしているから驚いたよ」



 と言いながら、今度は手の平で、僕の胸板を撫でる。


 それは、手の平全体で密着させて、滑らせる様にしてである。


 その行為は、僕の筋肉の感触を、そうやって味わうかのような印象を与えていた。



 「ふふふっ」



 僕を妖しげな光を宿した瞳で見詰めながら、今度は僕に密着してくる。


 両手を僕の背中に廻し、頬を僕の首筋に当てる様にくっ付いた。



 「お姉さんが、一杯可愛がってあげるね」



 そう言って、顔を上げて僕を見詰めていると。



 「あーちゃん、ドコにいるの?」



 静先輩が僕を呼ぶ声が聞こえる。



 「あーあ、良い所だったのに」



 それを聞いて、残念そうな口調で女の子が言った。



 「それじゃあね、また今度続きをしましょう」


 

 そう言って、その場を立ち去る、女の子。


 僕は立ち去る彼女の後ろ姿を、呆然としながら見送った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ