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第67話 二人でぼんやり

 ある日の昼休み。



 僕は、準備室で長椅子に座って、ボンヤリとしていた。


 別に、理由がある訳でも無く、ただ、何となくである。


 そう言う時ってあるでしょう?


 そうやって、壁を見ながらボンヤリしていると、準備室のドアが開いて、のどか先輩が入って来た。


 それから、ボンヤリしている僕を見て。



 「ん、あーちゃん、何しているの?(なに?)」


 「はい、何となくボーとしているんですよ」


 「そうなんだ(ヘンなの)」


 「はい」



 不審(ふしん)に思いながらも、先輩が僕の隣に座る。


 

 「ねえ、あーちゃん(ねえ)」


 「はい」


 「学校、楽しい?(どう?)」


 「はい、特に図書室にいると楽しいです。

先輩たちと、一緒にいると楽しくてしょうがないですよ」


 「私もよ、前から楽しかったけど。

今年は、あーちゃんが来てくれたから嬉しかったんだよ(そうだよ)」


 「そうなんですか?」


 「うん、こんなに可愛い男の子が来るなんて、思ってもいなかったから(びっくりしたもん)」


 「・・・」



 思わず、僕は照れてしまった。



 ****************



 二人で、色々と話ながらボンヤリしている。


 周りの空気が、緩やかに流れているのが感じられる。


 その内、先輩が僕の横にくっ付いて来た。


 そうしていると、先輩が。



 「あーちゃんとの関係って、ある意味、理想的な関係だね」


 「どうしてですか?」



 と言って来たので、僕が尋ねた。



 「お互いに甘えたり、甘えられたりして、一方的な関係じゃないから。

あーちゃんとの関係には、好意の循環があるのよ」


 「無償の愛とか言うけど、それは好意の循環から生まれる物だと、私は思うの」


 「それが無い、一方的な無償の愛と言うのは、病的な関係か、相手を騙すつもりなのか、宗教しか無いんじゃないかと思うの」


 「病的?」


 「例えば、共依存とか」



 それは、心理学の本を読んで聞いた事があるなあ。


 先輩が言う好意の循環じゃなく、歪んだの循環の関係だ。



 「だからね、後で可愛がってあげるから。(たっぷりと)

ねえ、あーちゃん、甘えさせてね(おねがい)」



 そう言いながら、先輩が僕にしなだれて来た。


 僕は、自分の肩に頭を付けた先輩の頭の上に、自分の頭を乗せて頬ずりした。


 そうすると、先輩が益々、密着して来るのだった。


 周りの空気は相変わらずに、緩やかに流れている。


 そんな空気の中、二人、ボンヤリしながら寄り添っていた。


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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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