第64話 ゴロニャン天然天使
ある日の昼休み
今日も、図書室に来たけど。
しかし、今日は、校舎の外壁工事の関係で図書室が使用できない。
利用できない訳ではないが、一応、念の為に一般生徒の使用を停止している。
僕は図書委員の権限で、中の安全確認の名目で図書室に入る。
今日は、先輩方は昼休みは来ないらしいので、今は僕一人だ。
と言う訳で、普通の時では出来ない事をしようと思う。
準備室に入ると、長椅子の方に向かい。
それから、長椅子に横たわり昼寝をする事にした。
工事の方も昼休みで、今は止まっていて静かだ。
それでは、おやすみなさい。
「ぐう〜」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
*****************
「ガラッ」
図書室の扉を開く。
今日は工事の関係で、一般生徒は立入禁止だ。
そう思い、図書室に行く予定は無かったけど。
図書室に向かう、あーちゃんの姿を見かけて後を付けた。
確かに、図書委員は安全確認の為に入る事が出来る。
「しかし、あーちゃん何するつもりかな(な〜にかな)」
図書室の方には、いないな。
準備室に行ってみると、中の長椅子で寝ている、あーちゃんを発見。
「そんな事をしていたのかあ(な〜んだ)」
寝ている、あーちゃんに近づく。
そんな、あーちゃんを見ていると、”ピカッ”と頭の上に電球が光った。
私は無防備な、あーちゃんを見ながら、ニヤリと笑った。
***************
「う〜ん」
夢を見ていた、昔、猫を飼っていた頃の事だ。
その猫は冬になると、必ず僕の布団の上に乗っかって、丸くなるのだった。
しかも胸の上に乗って丸くなるので、息苦しさに、いつも目が覚めていた。
その息苦しさに、僕は猫の名前を呼んだ。
「ねえ、降りてよ、タマ」
「にや〜ん」
何か、変な猫の声がしたので目を開けると、僕の目の前に、のどか先輩の顔があった。
「のどか先輩!」
「タマだ、にゃん(にゃ〜ん)」
先輩が寝ている僕の上に乗って、抱きつきながら顔を起こして、僕を見詰めている。
「せ、先輩、何でこんな所にいるんですか!」
「うん、あーちゃんが図書室に行くのを見かけたから(そうだよ)。
そんな事よりも、あーちゃんは何でこんな所にいるの?(なぜ?)」
「え、いや、まあ、誰も来ないから、いつも出来ない事をしようかと思って」
「じゃあ、私もいつもと違う事をしよう(にゃ〜)」
そう言いながら、僕の胸に頬ずりをする。
しかし、先輩が頬ずりした弾みでバランスを崩して、長椅子から落ちそうになった。
「わっ!」
「キャッ!」
しかし、僕は先輩の腰をシッカリと抱き締めたので、落ちなくて済んだ。
だが、僕が強く抱き締めた為に、何か変なスイッチが入ったらしく。
「あーちゃん・・・、もっとギュっとして・・・」
おねだりしながら、更に僕の胸に頬ずりをする、のどか先輩。
その様子は、まるで飼い主に体を擦り付ける猫。
そう思い先輩を見ると、頭に猫耳、背後にユラユラ揺れる猫尻尾が見えた気がする。
おねだりに応じて、キュっと強く抱き締めると、先輩が満足そうな表情で、頬を僕の胸の強く押し付けた。
その満足そうな表情のまま、先輩が僕の胸で、昼休みが終わるまで甘えていた。




