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第63話 犬耳あーちゃん

 ある日の放課後。



 今日は、カウンターで麗子先輩と一緒に座っている。


 準備室の方は、恵先輩、静先輩、のどか先輩が中で本を読んでいる状態だ。


 カウンターで本を読むのに没頭していると、頭の上から声がした。



 「はろー、あーちゃん」



 顔を上げて見ると、そこには、紙袋を持った翠先輩が、ニコニコしながら僕を見ている。


 僕は翠先輩の姿を見た途端、身構えってしまう。



 「やだー、あーちゃん、そんなに警戒しないでよ。

もう、女装なんてさせないから」


 「ホントですか?」



 疑問を抱きながらも、僕は警戒を解いた。



 「ひょっとして、この人が、手芸部の部長さん?」


 「その通り、私が手芸部部長の松橋翠。

ん、あなた、見かけない顔ね?」


 「はい、新しく図書委員になりました、大津麗子です。

よろしくお願いします」


 「こちらこそ、よろしくね。

って、あーちゃん、逃げないの!」


 「むぎゅっ」



 二人が自己紹介している隙に、脱出しようとしたら。

翠先輩に発見されて、また、首根っこをつかまれた。



 「さあ、中に入りましょうか」



 そう言って、翠先輩と麗子先輩が、僕を連行しながら準備室に入っていった。



 ****************



 中に入ると、3人がこちらを向いて。



 「翠、今日も持って来たの?」


 「「え、また、あーちゃんの女装姿が見られるの」(わくわく)」



 恵先輩と、静&のどか先輩が、そう言った。



 「え、二人から聞いた、あの、あーちゃんの女装姿が見れるの」


 

 好奇心一杯の顔で、そう言うのは麗子先輩。



 「残念、今日は女装じゃないんですよ」


 「「「「なーんだー!」」」」



 翠先輩がそう言うと、心底、残念そうに言う4人。



 「じゃあ、今日は何しに来たのよ」



 憮然としながら、翠先輩にそう言う、恵先輩。



 「今日はねえ」



 そう言うと、紙袋から何やら取り出してから、僕に近づき、それから、その何かを僕の頭とお尻に取り付けた。


 

 「じゃん、実はこれなのです」


 「「「「かわいい〜♡」」」」


 「???」



 と、翠先輩が言うと、4人が黄色い叫び声上げ、僕は?マークを頭に浮かべた。



 「とうなってるんですか?」


 「コレを見て」



 訳が分からずに僕がそう言うと、翠先輩が紙袋から鏡を取り出して、僕に見せる。


 僕が鏡を覗くと、僕の頭に柴犬の様な耳がある。


 もしやと思い、自分の後ろを見ると、柴犬の様な丸まった尻尾があった。



 「何ですかコレ」


 「名付けて、犬耳あーちゃん」



 呆れた様にそう僕が言うと、得意満面に翠先輩が答えた。



 「ねえ、ねえ、あーちゃん、いいかしら」



 そう言いながら、鼻息を荒くしながら、恵先輩が近づいたかと思ったら。

ガバッと、僕の頭を胸に抱き締めた。



 「よ〜し、よ〜し、ほうら、よ〜しよし」



 抱き締めながら、僕の頭をガジガジと撫で廻す、恵先輩。


 あなたはムツ〇ロウさんですか。



 「あ、先輩ずるいですよ」


 「私も、私も(もふりたい〜)」


 「私も撫でたい〜」



 静先輩、のどか先輩、麗子先輩がそう言って、僕の左右と後ろにくっ付いて来た。



 「もお、それを持って来たのは、私でしようが」



 文句を言いつつも、僕を取り囲む輪の中に飛び込む、翠先輩。



 「誰ですか〜、変な所を触るのは〜」



 ドサクサに紛れて、僕の大事な所を誰かが触っている。



 「だ、誰か、助けて〜!」



 思わず、僕は誰かに助けを求めるが、誰も来る訳が無い。


 結局、僕は、5人の女の子に揉みくちゃにされながら、しばらくの間、モフられる事になってしまった。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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