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第61話 新しい天然天使

 ある日の昼休み時間。



 夏休みも終わって、もう数日が経った。


 今日は、有佐先輩と一緒にカウンターに座っている。


 恵先輩、静先輩、のどか先輩は準備室で本を読んでいる所だ。


 そうしてカウンターで、座りながら本を読んでいると。



 「ガラッ」



 急に、音を立てて、図書室の扉が開く。


 その方向を見てみると、二人が図書室に入って来る。


 もう一人は川尻先生で、もう一人は女の子で、ドコかで見たことがあるなあ。


 髪型が前髪を切り揃えた、肩まで掛かる位のストレートで、背格好と雰囲気が、静先輩に似ている。


 あ、そうだ、夏休み中に出会った、 2年の大津麗子先輩だ。


 しかし、どうして先生と一緒に来たのかな?

 


 「丁度良かった、今日は有佐さんがいる日だったわね。

有佐さん、秋人くん、一緒に準備室に来てね」



 と、先生が僕らに言う。


 そんな訳で、僕らは先生達と一緒に、準備室に入る事になった。



 ***************



 中に入ると、3人がこちらをみて、そして。



 「「麗子、どうしたのよ!」(ビックリ)」



 静先輩、のどか先輩は、同時にそう言った。



 「チョット待ってね、私が説明するから」



 と、先生がそう言って、一旦、落ち着かせる。



 「知っている人もいるけど、彼女は2年生の大津麗子さん。

実は、彼女のクラスの図書委員が転校する事になって、急遽(きゅうきょ)、彼女が図書委員になる事になったの」


 「大津麗子です、よろしくお願いします」



 先生がそう言って紹介すると、前に出て、挨拶をする麗子先輩。



 「それからこちらは、図書委員長の木葉恵さん」


 「よろしく、恵って呼んでね」


 「はい、こちらこそ、お願いします」


 「こちらは、3年の小川有佐さん」


 「よろしくね、私も有佐って呼んでよかけんね〜」


 「・・・ははは、よろしくお願いします」



 イキナリの有佐先輩の方言に、ちょっと驚き気味の麗子先輩。



 「その二人は、顔なじみみたいだから、省略して。

こっちは、1年生の伊倉秋人くん。」


 「あ〜、秋人くん、久しぶり〜」


 「はい、麗子先輩、久しぶりです」



 笑顔を見せながら、僕に挨拶した麗子先輩。


 それに答えて、僕は挨拶を返した。



 「あれ〜、麗子、あーちゃんと会った事があるの?(いつ?)」



 と、のどか先輩が、麗子先輩に尋ねた。



 「うん、夏休みに図書室に出て来た時にね」(第50話参照)


 「へえ、そうだったの」



 麗子先輩がそう答えたので、静先輩が納得する。



 「あ、麗子も図書委員になったのだから、秋人くんじゃなく、あーちゃんって呼ばないと(そうそう)」


 「え、そうなの?」


 「うん、いつの間にか、読書部員か図書委員は、秋人くんじゃなく、あーちゃんと呼ぶようになっているの」



 のどか先輩がそう言うと、麗子先輩が尋ねて、静先輩が答えた。



 「ほれ、あーちゃんって、呼んでごらん(ほらほら)」


 「あ、あーちゃん・・・」



 のどか先輩がそう言う様に()かすと、麗子先輩が顔を赤くして、照れた様にして僕を呼んだ。



 「じゃあ、次は、あーちゃんとハグするのよ、ここにいる人間は、みんな、あーちゃんとハグした事があるのよ、ねえー、先生(そうよね)



 そう、のどか先輩から向けられて苦笑いをする、川尻先生(第22、49話参照)。



 「え、その・・・、夏休み中に会った時に、抱き止められたから・・・」



 顔を真っ赤にして(つぶや)く、麗子先輩。


 その言葉を聞いて、麗子先輩以外の全員の顔色が変わった。



 「へえ、そんな事があったんだ」


 「それは、聞き捨てならんたい〜」


 「その時の状況を聞きたいわね」


 「ねえ、ねえ、どうなの(わくわく)」


 「それは、図書委員の人間関係に関わるから、詳しく聞かないとねえ〜」



 そう言って、ある者は嫉妬に満ちた目で、そして、ある者は好奇心で僕に迫ってくる、恵先輩、有佐先輩、静先輩、のどか先輩、川尻先生たち。

 

 その状況に、呆気(あっけ)に取られる、麗子先輩。


 こうして、昼休みと放課後に(またが)る、僕への尋問が開始された

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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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