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第56話 天然天使にいたずら1

 夏休みのある日。



 今日は恵先輩と一緒の日だ。


 先輩と二人で、カウンターに座って勉強していると、先輩の様子がおかしい。


 隣にいる先輩を見てみると、コクリコクリと船を漕いでいる。


 どうやら結構、疲れている様だ。


 僕はとりあえず先輩の背中を擦って、起こしてみる事にした。



 「先輩、先輩、寝ていますよ」


 「ん、あ、寝ちゃったんだね・・・」


 「先輩、昨日はそんなに、勉強していたんですか?」


 「う〜ん、昨日はそんな事ないけど、連日、結構しているからね」



 どうも、疲労が蓄積しているみたいだ。



 「少し、準備室で寝ていた方が良いですよ」


 「うん、そうした方が良いかな」



 流石に、今回は僕の言う事を、素直に聞いてくれる。



 「ごめんね、奥で休んでいるから」



 と言いながら、準備室へと入っていった。



 ****************



 あれから、しばらくの間、一人でカウンターにいる。


 ふと気になって、準備室の方を眺めてみるが、準備室からは物音一つもしない。


 それで、先輩の様子を確かめる為に、準備室を覗いて事にする。


 ドアをそっと開けて、中の様子を見てみると。


 先輩は、長椅子の端の方に座って、寝ている様だ。



 「すう、すう」



 中に入って、先輩に近づくと、静かな寝息が聞こえてくる。


 その先輩の無防備な寝顔を見ていると、何だか悪戯心がムクムクと湧いてきた。


 まず、先輩のトレードマークである、ポニーテールの尻尾を、触ってみる。


 尻尾の先を手のひらで撫でてみると、滑らかな毛先が心地良い。


 しばらく尻尾を(もてあそ)んだ後、次に頬っぺたを突いてみる事にした。



 「ぷに、ぷに」



 あ、プニプニした感触が面白い。



 「ううん〜」


 おっとっと、先輩を起こしてしまう所だった。


 一旦、先輩から離れて眺めていると、スカートから見える膝頭が、目に飛び込んできた。


 それを見て、思わず喉を鳴らした。


 この学校の制服は、超ミニサイズのスカートと言う訳では無いが、膝丈サイズでも無いので、膝上が結構、露出している。


 その露出している、柔らかそうな膝頭を見ていると、その上に頭を乗せたくなるような気持ちが、湧き起こって来た。


 そこで僕は、長椅子の上に横になり、先輩に太股の上に頭を乗せる事にする。


 僕は先輩から少し離れた場所に座り、それから体を90度反転させ、脚を長椅子の上に乗せてから上体も椅子の上に乗せた。


 その状態から、頭の位置を調整して、先輩の太股に頭を乗せる。


 

 「あー、気持ちいいなあ」



 その柔らかな感触に、つい声が出てしまった。


 太股に頭を乗せると今度は、頭を左右に動かしたりして、その感触を堪能する。


 その柔らかな感触を堪能していると、突然、僕の頭が誰かに掴まれた。 



 「あーちゃん、おイタは駄目ですよ」



 先輩がニコニコしながら、そんな事を言った。



 「あ、せ、せん「”お姉ちゃん”」・・・」


 「疲れていたからスルーしたけど、確か、二人だけの時は”お姉ちゃんって言って”て、言ってたんじゃ無かったけ」


 「はい、恵お姉ちゃん・・・」



 そう言いながら、僕の頭や頬を撫で(まく)っている。



 「あーちゃんがこんな悪戯をするなんて、以外だな。

でも、あんなに頭を動かしたら、くすぐったくて、目が覚めちゃうよ」


 笑いながら、僕を撫で捲る、先輩。


 僕は脱出しようとするが、僕を撫でる手の気持ちの良さと、頭の下の柔らかさに、その意志が萎んでしまう。


 結局は、その状態のまま僕は、先輩に撫でられ捲られていた。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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