表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/136

第53話 遠い昔の天然天使2

 夏休みのある日。



 今日は、一人で学校に出ている。


 誰もいない図書室で、一人カウンターに座って勉強していると。

急に後ろから、誰かに首に抱きつかれたかと思ったら、後ろ側に引き寄せられた。


 後ろに引かれると、次に”ぽよん”と後頭部に何か柔らかい物が当たる。



 「秋人君、久しぶりね」



 気が着くと、頭上から良子先輩の声が聞こえて来た。


 見ると、僕は背後から良子先輩の胸に、頭を抱き締められた状態だった。



 「せっ、先輩、どうして!」



 僕は突発的な状況と、今のこの状態とで、パニックになっていた。



 「うふふ、ビックリした?」



 先輩はそう言うと、悪戯っぽい笑顔を見せた。


 僕の頭を抱き締めつつ先輩が、指の間に髪を通しながら、揉むように頭を撫でてゆく。 


 その柔らかなタッチに、少しづつ心臓の鼓動が収まっていくが。

こんどは、僕の頬が熱を持ち始めて来た。



 「(ああっ、先輩って、着やせするタイプなんだな)」



 後頭部に感じる、クッションが利いた感触を味わいながら、僕はそう思う。



 「それで、どうしたんですか今日は」


 「ん、久しぶりだから、ちょっと悪戯を」



 僕がそう言うと、先輩がチロリと舌を出しながらそう言った。



 「ねえ、秋人君、私も”あーちゃん”って、言って良いかな」



 僕の顔を覗き込むながら、先輩が言って来た。


 僕を見る先輩の表情が、余りにも優しいから、僕は視線を外しながら言う。



 「べ、別に良いですよ・・」


 「ふふふ、ありがとう、”あーちゃん”」



 と、先輩が言うと、僕の頭を抱き締めたまま、左右に体を揺すった。



 「(せ、先輩、そんな事をしたらむ、胸が)」



 後頭部で柔らかい物が、揺れる振動が直に来る。



 「でも先輩、これからどうなるんですか?」


 「うん、何が?」


 「いえ、ストレートに言えば、”成仏するのか”とか」



 余りにも恥ずかしい状況なので、意識を外す為にそんな事を言うと。



 「うん・・・、何て言うか、”満足したら”天に上るから」


 「満足ですか・・・」


 「そう、”男の子と楽しい学校生活を送った”って言うね。

それ以外は長い間、この学校にいて、見えないけど生徒の中にいる内に、何だか満たされてしまったから」



 そう言いながら、寂しそうな顔をする先輩。



 「だからね、可愛い男の子とイチャイチャしたり、デートしたりって言う願望を叶えてね、あーちゃん。」



 先輩がそう言いながら、僕の頭をギュっと強く抱き締めた。


 そうすると、僕は先輩の甘い匂いに包まれて行く。


 しかし、この人?は本当に、この世の人じゃないのか?


 この柔らかで暖かな肌と、甘くて良い匂い、そしてその豊かな胸の感触・・・。


 こんなにハッキリと、感じられる物なのだろうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ