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第52話 ぐったり天然天使

 夏休みのある日。




 今日は僕だけだけで無く、のどか先輩も来る予定である。


 しかし、遅いなあ。


 もう、10時近くになっているのに、忘れたのかな?



 「ごめんなさい!」



 ガラッと音を立てながら図書室の扉を開けて、それから急いで入って来る、のどか先輩。



 「駅を降り(そこ)ねて、二駅先で折り返して来たの」




 はあ、はあ、声を弾ませながら、先輩がそう言った。



 「良かった、忘れていたんじゃないんですね」


 「ううん、そんな訳ないよ、あーちゃんが来るんだし(とうぜんでしょ)」



 二人でそう言っていると、何だか、のどか先輩の様子がおかしい。


 そう思っていると、イキナリ、先輩がふらっと前に倒れそうになった。



 「どうしたんだろ(あれれ)。

何だか、頭が少しフラフラするし(おかしいな)」


 「熱射病かもしれませんね。

とりあえず、保健室に行きましょうか」



 僕は先輩を抱き抱える様にして、そのまま保健室に向かった。



 *********************



 「軽い熱射病みたいね、とりあえず、ここで横になっていてちょうだい。

ちょっと、職員室に用事があるから、何か用があったら呼んでね」



 校医の先生がそう言うと、職員室の方に行った。



 「ごめんね、あーちゃんに迷惑をかけて(しゅん)」


 「いいですよ、大事にならなくて」



 そう言って、済まなそうしている、先輩。



 「昔、誰もいない図書室で発作を起こして、そのまま誰にも発見されずに亡くなった女の子がいたそうですし。

僕がいて、良かったですよ」



 僕は、良子先輩の事を言った。



 「へえ、そんな事があったなんて初耳(しらなかった)

あ、でも、学校の七不思議の一つに、髪の長い女生徒を校内のアッチコッチで見かけるってのが、あったね(そうそう)。

それと、関係しているのかな?(どうだろう)」



 一応、目撃した人もいたのか・・・。

でも、会話したのは、僕だけの様な感じだし。



 「でも、そうならなくて、本当に良かったですよ」


 「うん、そうだね、ありがとう、あーちゃん(ニッコリ)」



 と言って、僕にお礼をした、のどか先輩。


 しかし、何だか、先輩が妙にモジモジしている。



 「それでお願いがあるけど、あーちゃん、私の頭を撫でて(もじもじ)。

そうしたら、気分が楽になるから(おねがい)」



 そう言って、おねだりをしてきた、先輩。



 「はい、いいですよ」



 僕はそう言いながら、先輩の頭に手を乗せた。


 それから、先輩の髪に指を通して、その滑らかな感触を楽しみつつ、先輩の頭を撫でる。



 「あ〜、あーちゃん、気持ち良いよ(ゴロゴロ)」



 僕の手の動きを感じながら、猫の様に目を細める先輩。


 先輩のその表情を見ていると、僕まで頬が緩んで来る。



 「すう、すう」



 しばらく、先輩の頭を撫でていると、先輩が寝息を立て始める。


 でも、撫でているこの髪の感触が気持ち良くて、止めたく無かった。



 「(なでなで)」



 そして、そのまま僕は、先輩の寝顔を眺めながら、頭を撫で続けていた。



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
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