第48話 不思議な女の子3
ある暑い日の休憩時間。
僕は廊下を歩いていると、イキナリ声を掛けられた。
「秋人君、こんにちわ」
僕に声を掛けて来たのは、腰までの姫カットが特徴の上品な女性。
原水良子先輩だ。
「先輩、こんにちわ」
僕がそう返すと。
「これから、どこに行くの?」
「はい、ちょっと購買に買い物をしに」
「そうなの」
ふふっと、先輩が笑顔でそう言った。
「そう言えば、明後日から夏休みだけど、先輩はどうするんですか?」
「そうねえ、毎日、学校かな?」
「? ひょっとして、クラブですか?」
「まあ、そんなとこかな」
またも、ふふっと微笑みながら、先輩がそう言った。
クラブなのかな? まさか補習って訳は無いか、先輩のその雰囲気と反応からすると。
「そう言う、秋人君は?」
「はい、僕は読書部と図書委員で、夏休みでも結構出てくるんですよ」
「そうなの」
「「「お〜い、あーちゃん!」」」
二人で話し込んでいると、向こうから声が聞こえて来た。
振り返ると、恵先輩、有佐先輩、翠先輩が、こっちにやって来ている所だった。
「あーちゃん、そんな所で、一人で何をブツブツ言ってたの?」
僕の側に、恵先輩がやって来てから、先輩がそう言った。
え、隣に良子先輩がいるのに?
「え、隣に良子先輩がいるでしょう」
「良子? それ誰?」
「だから、とな・・・」
隣を見ると、誰もいなかった。
「良子って誰ね?」
「あーちゃん、誰?」
有佐先輩と翠先輩が、続けてそう言った。
「だから、さっきまで、ここに居たんですよ」
「あーちゃん、熱は無いの?」
と言って、僕の額に手を当てる、恵先輩。
あ〜、ヒンヤリして気持ち良いな、じゃ無くって。
「だから、居たんですよ、3年の原水良子先輩が」
僕が、半ば切れ気味にそう言うと。
「原水良子? 誰?」
「3年におった?」
「聞いた事が無いよ」
そう言う、恵先輩、有佐先輩、翠先輩。
「髪型が姫カットで、膝が隠れる位のスカートで、三つ折りの白のソックスの」
信じられない思いで、そう僕が言うと。
「なあにそれ、一体、いつの時代なの?」
「そぎゃんか娘、見たことなかよ」
「そんな目立つ格好なら、絶対に忘れるはずは無いから、まずは
いないね」
続けてそう言う、恵先輩、有佐先輩、翠先輩。
え、じゃあ、僕が見たのは一体・・・。




