第37話 お姉ちゃん大好き
「・・・うんんんっ、ねえ、もおちょっとだけいい・・・」
ぼくは、ねむいから、もうすこしだけあまえてみた。
「ほら、あーちゃん、時間だよ」
やさしいこえで、ぼくをおこす、ありさおねえちゃん。
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「はい、あーちゃん、手を繋ぎましょうか」
ぼくのてをにぎってくれる、ありさおねえちゃん。
おねえちゃんとてをつなぐと、うれしくなってくる。
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「おねえちゃん、いっしょにねてもいい?」
ぼくはまくらをもって、ありさおねえちゃんのところにいった。
「いいよ、あーちゃん、ほら、おいでよ」
ベッドでねていたおねえちゃんが、ふとんをめくってぼくをよんだ。
ぼくはおねえちゃんのベッドにはいった。
ベッドにはいったぼくを、おねえちゃんはギュっとだきしめた。
ぼくも、おねえちゃんにだきついた。
「ありさおねえちゃん、だいすきだよ」
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・・・んん、昼休みにカウンターにいたら、いつの間にか居眠りをしていたみたいだ。
あれ、何だか暖かい物に包まれていて、しかも、それに僕が抱きついている。
「あ、あーちゃん、起きたねぇ」
気がつくと、僕は有佐先輩に抱かれていて、更に、僕が先輩に抱きついている。
それに気づくと、僕は先輩から離れようとするが、先輩が僕を抱きしめて離さない。
「ダメばい! じっとしとらんね」
と言って、僕を叱ったので、僕は大人しくした。
「イキナリ抱きついて来たけん、ほんなこてビックリしたったい
(イキナリ抱きついて来て、本当にビックリしたよ)」
「しかも、抱きついてきてから、”ありさおねえちゃんだいすき”て言いよるけん
(しかも、抱きついてきて、”ありさおねえちゃんだいすき”て言っているから)」
「ああ、これは私ん弟になっとる夢でも見とるとやろかて、思ーたとたい
(ああ、これは私の弟になっている夢でも見ているんだろうかと、思った)」
「だけん、私も”あーちゃん”って、言うてやったとよ
(だから、私も”あーちゃん”って、言ってやったんだよ)」
そうなのだ、先輩の言う通り、先輩の弟になった夢を見ていたのだ。
「それと、あーちゃんって、甘えるのが下手やけん、そぎゃんか夢ば見るとたい
(それに、あーちゃんって、甘えるのが下手だから、そんな夢を見るんだよ)」
「だけん、しばらく、こぎゃんして、私に甘えとらんね
(だから、しばらく、こうして、私に甘えてるといいよ)」
先輩の言葉に文字通りに甘えて、そのまま先輩に抱きついたままだ。
そうすると、先輩は抱きしめた腕を緩めて、僕の背中を優しく擦りながら、僕の頭に頬ずりをした。
僕は、先輩の暖かさに包まれながら、いつの間にか涙を流していた。
しかも、午後の予鈴が鳴っても気づかないまま、そのまま先輩に抱きついていた。
有佐先輩、ごめんなさい・・・。




